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「ぶれない信念」という信念

会社というのは与えられた仕事を単にこなす場所ではなく、その人の夢や信念を果たす場所なのです――。ザ・リッツ・カールトン・ホテルの創業に参画したホルスト・シュルツ氏の言葉です。信念は成功に欠かせない要素だと昔からよくいわれます。経営者セミナーに参加したS氏もその場で信念の

重要性をたたきこまれ帰宅後、すぐ毛筆で「ぶれない信念」と書いて壁に貼り、毎朝毎晩「ぶれない信念」と胸に刻んでいたそうです。しばらくして同窓会に参加したS氏は、懐かしいクラスメイトたちに「やっぱりね、商売は信念が大事なんだよ」と熱く語っていたところ、その中の一人からこんな質問を受けたそうです。 「ところで、お前の信念って何?」「おっ、いい質問だね」張り切って答えようとしたS氏ですが、なぜか言葉が続きません。そのとき初めて気が付きました。肝心の信念が・・・ない!「ぶれない信念」のインパク  トが強烈だったのか、「ぶれない信念」という言葉自体が信念になってしまい、肝心要の信念の中身がカラッポだったのです。こういう人いるいる!と言いたいところですが、実は誰にでもよくあることなのです。朝礼で「今は大変な時期ですが、この状況から決して逃げ出さず、信念を持って努力を続ければ必ず道は開けると信じています」と社員を鼓舞する社長。

わが社の信念、自分の信念、ちゃんと理解して話しているでしょうか。その信念を社員と共有できていますか。
「よし頑張るぞ!」「何を?」「何だっけ?」みたいなことになっていないでしょうか。元リコー会長の桜井正光氏もかつて「トップが何事かを決断する場合、情熱と信念を持って自分の考えを説かなければ人はついてこない」とおっしゃいました。欧州でのビジネス経験が長かった桜井氏は「環境への配慮は企業の競争力強化につながる」との信念を持つようになり、その信念のもとで環境経営を加速したそうです。「ぶれない信念」が信念になっていないか今一度、自分と向き合ってみたいですね。

過去の記事
勝負は2秒

更新日:2017年10月2日

人生においてたった一度しかないチャンス。いったい何だと思いますか?
それは「第一印象」です。その人との初対面はたった一度だけ。「第一印象」に二度目はありません。

それなのに、たった一度の第一印象を意識している人は意外と少ないようです。商売でたくさんの人に出会うあなたはどうでしょう。
第一印象とは人や物に接したとき、最初に受ける感じのこと。いわゆる「パッと見」です。その時間は15秒だとか10秒以内だとかいろいろいわれていますが、たった2秒という意見もあります。以前ベストセラーになった『第1感』の著者マルコム・グラッドウェル氏によれば「何かへの評価は2秒で決まる」のだとか。最初の2秒で感じる「なんとなく」を「第1感」と名付け、「(第1感で)状況や人物を瞬時に判断した」場合も、「半年以上の時間をかけて判断した」場合も、そのものへの評価はほとんど変わらないと分析しています。
私たちは平均で3秒に1回まばたきをしているそうですが、2秒というのはまばたき1回分にも満たない一瞬。初対面で「はじめまして」とあいさつを交わすまでもなく、私たちは瞬時になんとなく相手を評価して、

同時に自分も評価されているのです。しかもその評価はけっこう的確なので、第一印象が悪かったから時間をかけて自分を分かってもらおうと努力しても、修復できる確率は低いというわけです。人には実にさまざまな面があり、それらをひっくるめたものがその人なりの味わいとなります。しかし自分の人となりを見てもらう前に、出会いがしらの2秒で与える印象は思っている以上にインパクトが強いことを覚えておきたいものです。
服装や立ち居振る舞い、話し方や声のトーンなど第一印象を良くするための演出はいくらでもありますが、結局は「普段の自分」がにじみ出てしまうものですし「普段」は隠せません。だったら普段からカッコ良く。
カッコつけるのではなくて、自意識よりも美意識を大事にしていきたいものですね。


聞くときは心を込めて

更新日:2017年9月1日

商売の極意を尋ねられて「聞くこと」と答えたのは、ベテラン経営者のT氏です。
極意のきっかけは、その昔、夫婦で泊まった温泉宿とのこと。
その宿は人里離れた場所に一軒だけぽつんとある民家のような旅館で、予約の電話をしたときに部屋にテレビがないと聞かされたときは「夫婦二人で間が持つだろうか」と心配になったそうです。

ところが行ってみればなんてことはなく、遠くから聞こえるホトトギスの声、山里を吹き抜ける風の音、その風が木々を揺らせばサワサワと葉音が鳴り、夜は夜で耳を澄ませば「静けさ」という音が聞こえてくるようで、今までにないくらい心休まるひとときだったといいます。何よりの発見は「奥さんの声」だったそうです。普段はテレビに奪われていた耳を奥さんに向けたことで「この人はこんな声だったのか」と改めてしみじみしたのだとか。そのせいか、いつもなら何となく聞き流す奥さんの話を、その夜は耳を傾ける気持ちで聞いたそうです。「そしたら不思議なんだけど奥さんの表情がやわらかくなって。そうなるとこっちも笑顔になるから自然と会話が弾んでね。翌朝には恥ずかしながら手をつないで朝の散歩を楽しんだよ」。散歩の途中、いつもより優しい声で話している自分に気付いたT氏は、いつもより晴れやかな笑顔を向ける奥さんを見て思ったそうです。

自分は今までどんな態度でお客さまの話を聞いてきただろう。どんな風にお客さまに話し掛けてきただろう――。
詩人の山崎佳代子氏はかつて、講演でこんな話をされました。「声は人の魂を結びつける。声を出すときはみんなに届くように出し、声を聴くときは心を込めて聴く。この二つが欠けると社会はほころびる」。
伝えたいことがお客さまに届くように話し、心を込めてお客さまの話に耳を傾ける。この二つが欠けると商売もほころびてくるかもしれません。話したり聞いたりは毎日のことです。
どんな態度で、どんな心持ちで行うか、それが大事なのではないでしょうか。


「最良」の反対は?

更新日:2017年8月3日

「成功」の反対は何でしょう。今では小学校でも使われるくらいよく知られた問い掛けです。成功の反対は「失敗」ではなく「何もしないこと」、または「チャレンジしないこと」ではないで

しょうか。思うような結果が得られなかったとしても、それは成功の種まきだったというわけです。
では「最良」の反対は何でしょう。辞書には「最良の反対は最悪」と書かれていますが、もちろん辞書的な意味を問い掛けているのではありません。
「最良の反対は良である」と言ったのは、主に自費診療を提供している歯科医のK氏でした。保険という制度のある日本では、保険診療をしたほうがビジネスとしては楽かもしれません。けれど本当に必要な歯科医療を提供しようと思ったら、保険制度の中で無償の部分を増やすか自費にするかの難しい選択だそうです。
K氏自身、以前は保険請求できない部分は修行だと思って辛抱し、患者の健康のためにそこそこ良い診療をしている自負はありました。「まあまあなことはしているから、この程度でも他の歯医者より

は良いことをしているはずだ」。そうやって自分を鼓舞する反面、常に頭から離れないのは「これはベストな診療なのだろうか」という迷いでした。
そんな葛藤の日々の中でK氏が出会ったのが、先輩歯科医であるY氏の「最良の反対は良である」という言葉だったそうです。「そこそこ良い」は「ベストを尽くすこと」を妨げる。「まあまあ良いことをしているから」という思いでいると、その先の一歩、さらにもう一歩がなかなか出ない。
Y氏の言葉にK氏は背中を押されたと言います。「そこそこやっているけれどベストではないことは分かっている。分かっていながらも現実に負けてきた自分と向き合うときが来たのかもしれない」と。
誰もが上を目指す必要はありません。ただ、自分なりのベストを追い求める商売ができたら、きっと良い人生になるだろうなと想像します。


大きな石から入れる

更新日:2017年7月6日

何らかの問題が起こるとき、原因のほとんどは「優先順位」にあるそうです。
誰を、何を、どの状況を、どのタイミングを優先するかで経過が変わり当然、結果も変わります。思い出してみてください。人間関係のこじれも仕事上のミスも優先順位を間違えなければ避けられたものが多かったのではないでしょうか。経営はシミュレーションに始まりシミュレーションに終わるといわれますが、シミュレーションとは要するに優先順位の付け方です。

優先順位の考え方として有名なエピソードがあります。ある大学の授業でのこと。教授が大きなつぼに石を詰め、つぼが石でいっぱいになると学生に聞きました。「このつぼはいっぱいになっただろうか?」。学生たちは「はい」と答えますが、教授は「本当に?」と言って砂利を取り出し、つぼの中に流し込んで石と石の間を埋めました。そして学生に尋ねます。「このつぼはいっぱいか?」「いいえ、違うと思います」。教授は次に砂を取り出してつぼに流し込み「このつぼはいっぱいか?」「いいえ」と同じやり取りを繰り返した後、さらに水の入ったバケツを取り出しました。つぼの縁まで水を注いだ教授は、学生に最後の問いを投げかけます。「私が何を言いたいか分かるだろうか?」。

皆さんは教授の意図を理解できたでしょうか。どんなに予定がいっぱいでも努力すればもっと予定を詰められる。これは学生の答えと同じですが、教授の言わんとすることとは違います。教授いわく「大きな石を先に入れないと、あとから入れようとしても入らない」。つまり、物事には優先順位があると教授は言いたかったのです。「大きな石」とは自分の一番大事なもの。大きな石を最優先しないで砂や砂利から手を付けると、一番大事なものにかける時間がどんどん減ってしまいます。商売というつぼにあなたは何から入れますか。このつぼが人生そのものなら、あなたにとっての「大きな石」は何ですか。商売も人生も優先順位を意識すると、きっと質の良いものとなるでしょう。


人の一寸我が一尺

更新日:2017年6月1日

武士で教育者だった吉田松陰は、多くの優秀な弟子を育てたことで知られる「人育て」の達人でした。その松蔭が人育ての極意としていたのは「他人の欠点を指摘せず、長所を伸ばす」でした。まさ

にその通りだと思いますが、実際には人の長所より欠点に目が行くほうが多いように思います。人の良いところを見付けてほめるより、欠点を指摘するほうがずっと簡単なのは「人の一寸我が一尺」だからでしょう。人の欠点はほんのわずかでも目に付くけれど、自分の欠点は大きなものでも気が付きにくい。これが「人の一寸我が一尺」です。
世の中には他人の欠点を指摘することに意欲を発揮する人がいるようです。自分のことは棚に上げ、人の欠点を目ざとく見付けては指摘する人は「親切に教えてあげているのだから感謝してね」と思っているかもしれませんが、実はその態度が最大の欠点かもしれないことに本人は気付いていないようです。もし「これはどうしても言ってあげたほうがいい」と思うなら、相手を否定することなく心に届くように

伝える技術が必要です。しかし、人の欠点を指摘するのは簡単でも、それを上手に伝えるのはとても難しいもので、だからこそ相手の欠点を上手に伝えられる人は信頼されて一目置かれるのでしょう。
相手の気になる欠点が、裏を返せば自分の欠点だったという場合も少なくありません。自分が気にしているからこそ、相手が同じことをしたら気になって仕方ないのですが、お互いの欠けている部分を否定しあっていたら人間関係はあっという間に崩れ去ります。従業員、部下、取引先、顧客。商売はいろいろな人間関係が交差する立体交差点のようなもの。「人の一寸我が一尺」ではあっという間に事故が起こるでしょう。あなたの周囲の人たちもあなたの欠点を見逃してくれているはずです。世の中は、持ちつ持たれつ。できるだけ相手の良いところを見てお付き合いをしていくことは、相手のためというより自分の器を大きくするチャンスだと捉えたいものですね。


商売は練って待つ

更新日:2017年4月28日

公園や駅前広場などで、ギター片手に歌っている若者を見かけることがあります。路上で自作の歌を弾き語りする人たちをストリートミュージシャンと呼ぶそうです。彼らは、うまい・下手を越えたところで聴衆を魅了しているように感じるのは若い情熱のせいでしょうか。夢を追いかけている人の姿はまぶしいものですね。

これは、あるストリートミュージシャンの興味深い話です。彼が路上で歌い始めたばかりの頃は、足を止めてくれる人の気配さえなかったそうです。無名の素人だから当然のこと。彼はそう思っていたようですが、路上ライブを続けるうちにあることに気付いたのです。ここには看板もなければ椅子もない。もしかしたら僕の歌を聴きたいと思ってくれている人がいるかもしれないのに「ここでライブをやっています。ぜひ僕の歌を聴いてください」というサインを何も出していなかった。これでは立ち止まりづらいのは当たり前だと気付いた彼は「路上ライブやってます」の看板を出し、小さな椅子を置いたところ、すぐに足を止めてくれる人が現れ、その数が少しずつ増えていったようです。人に聴いてもらいたければ良い音

楽をやることが大前提ですが、同時に「気兼ねなく聴ける」というお客さま目線の環境を整えることも大切だったのでしょう。良いものを作れば売れると思うのは傲慢(ごうまん)だと、ある経営者がインタビューに答えていました。良い商品だから、良いサービスだから、あとは「果報は寝て待て」の方程式が単純に成り立つなら商売はどんなに楽でしょう。しかしながら商売はそんなに甘くありません。世間には、間違いなく良いものなのに売れない商品やサービスが山ほどあります。どんなに良いものを作っても「それを売る努力をしないと売れませんよ」というわけです。「果報は寝て待て」もひとつの考え方だと思いますが、「果報は練って待て」という指南もあります。できる限りの努力と工夫をした上で静かに時機の来るのを待つ。そんな粋な商売をしていきたいものですね。


成功の秘訣は「最後まであきらめろ!」

更新日:2017年3月31日

最後まであきらめるな――。これは成功者の決まり文句です。あきらめずにやり続ければ誰でも成功する。しかし、あきらめてしまったらそこで終わり。それまでの努力は水の泡。あきらめるのは弱い人間のすることだ。世間にはそんな風潮がありますが、本当に「あきらめる」ことは悪いことなのでしょうか。

そもそも「あきらめる」には2つの漢字があります。一般的に「あきらめる」といえば「諦める」と書き、その意味は「希望や見込みがないと思って断念する」ですが、実は「諦める」の語源は「明らめる」だそうです。
「明らめる」とは事情や理由を明らかにすること。つまり「諦める」は「明らかに極める」から来ているのです。まずは事実や理由をはっきり認識して(明らめる)、その上で状況に合っていなければ断念する(諦める)。この流れが本来の「あきらめる」という行動なのでしょう。「最後まで諦めるな」ではなく「最後まで明らめろ」であれば、まさしく成功の条件だろうと思います。
うまくいかないことに固執するとおおむね失敗します。そこで諦めて次のチャレンジに目が向かないのは「明らめて」いないからでしょう。明らめるとは「受け入れる」ことでもあります。うまくいかない理由を冷静に分析して受け入れなければ、何度も同じことでつまずくのは自明の理。

的確な判断は理由を分析して状況を把握することで成し得ます。
どう考えても無理だと「明らめ」たら、すみやかに「諦める」。引き際は企業の存続を左右する非常に重要な判断です。明らめるには「心を明るく楽しくして気持ちを晴れやかにする」という意味もあります。壁にぶち当たったとき、その壁を乗り越えようとする自分を楽しめているかどうか。楽しめていないなら「明らめて」いないのかもしれません。諦めるのが悪いわけではなく、明らめずに諦める夢の途中の行動こそが、それまでの努力を水の泡にしてしまう「もったいない」行為だというわけでしょう。


成功者を真似しても成功できないその理由

更新日:2017年2月28日

半年間みっちり英語のプライベートレッスンを受けてから渡米した、ある人の実話です。

到着3日目。「あんなに勉強したのにまったく英語が理解できない」という失意のどん底からスタートしたアメリカ生活も、渡米から2カ月後には英語での日常会話に困らない程度まで上達しました。
日本での勉強がやっと実を結んだのかと思いきや、意外にも役に立っていたのは中学英語。渡米前の勉強がいかせるようになったのは半年が過ぎた頃からで、それでもやはり基本は中学の授業で習った英語だったそうです。「切羽詰まると基本学習の記憶がよみがえるもんだね。基本があってこその応用力だというのがよく分かったよ」。商売にも通じる示唆に富んだ話ではないでしょうか。

ビジネスのノウハウが世の中にあふれている今、その気になればいくらでも勉強はできます。成功者の生の声を聞くこともできます。しかし、それらを実践したからといってすぐに結果が出る人はまれでしょう。
なぜなら他人の成功事例は自分にとって「応用」だからです。すでに成功している人には自分なりのノウハウを確立してきた過程があります。その過程は本人に とっての基本です。つまり、プロセスは「基本」でノウハウは「応用」。他人のノウハウを真似して目の前の問題を一時的に回避できたとしても、それは対処療法 に過ぎません。 基礎体力がないのに、いきなりフルマラソンにチャレンジするのが無謀なことは理解できても、商売では基本をないがしろにして応用に飛びついてしまうことに自分ではなかなか気付けないものです。
商売の基本とは何か。それは「人となり」ではないでしょうか。商売が人と人との関わりで成り立つ以上、人間的な部分が仕事の成功を下支えしているのは確かです。日頃どんな心構えで仕事をしているか、どんな態度で顧客と接しているか。その基本を押さえて商売をしていれば、必要なときに応用が利いて結果が出る。自然の摂理とはそういうものなのではないでしょうか。


運を良くする方法

更新日:2017年1月31日

日本を代表する大物コメディアンKさんがまだ見習いだった頃のこと。演出家が「才能がないからやめた方がいい」とKさんを突き放したとき、「Kは才能がないけれど誰よりもいい返事をする。 それだけで劇団に置いてやっ

てくれ」とかばってくれた先輩がいたそうです。後日、Kさんを酷評した演出家が「この世界(芸能界)では、才能がなくてもたったひとり応援してくれる人がいたら必ず成功する」と言いました。要するにその演出家は、「こいつをやめさせないでくれ」と応援してくれる先輩がいるのだから頑張れとKさんにエールを送ったのです。「演技は努力しなくていい、性格を努力しろ」というのはKさんの言葉です。競争の激しい芸能界で生き残っていくには芸よりも先に性格や人格を磨け。成果や実力で勝負するのはまっとうなことだが、仕事の出来はそこそこでも、応援してくれる人がいて引き立ててもらえたら成果や実力はあとからついてくる。Kさんが自身の経験から得た学びには商売にも通じる大事な要素があるのではないでしょうか。

才能や実力や実績があっても、人からの引き立てがあるかないかで商売の展開は大きく変わるでしょう。日頃から多くの人にかわいがってもらっている人が何か始めたと聞けば、誰もが自然と「あの人ならきっと成功するよ」と思うでしょうし、逆の場合は言うまでもありません。Kさんの言葉を借りれば「応援してもらえる性格」かどうかということです。
よく「運が良い」とか「運が悪い」とかいいますが、実際は自分の性格に見合った出来事と巡り合っているだけではないでしょうか。「運」を「性格」に替えて考えてみると分かります。性格とはつまり考え方、行動、反応の仕方、態度の示し方、感情の持ち方のこと。今の自分は人から応援してもらえる考え方や行動をしているだろうか。人に引き立ててもらえる商売の在り方をしているだろうか。性格に良くないところがあるのなら「応援してもらえる性格」になるように努力すればいい。それが自分で自分の運を良くする方法なのではないでしょうか。


凧(たこ)は風に向かって舞い上がる

更新日:2017年1月10日

このお正月はぎっくり腰で寝たきりだったという知人に「新年早々、災難だったね」と声をかけたところ、「お正月で助かったよ。かえってゆっくり休めたしね」と笑顔を向けられました。気の毒だと思ったのはこちらの勝手な思い込みで、本人はぎっくり腰で動けない状況を前向きにとらえ、逆に楽しんでいたようです。

考えてみればこの知人は、何か問題が起こったときにいつでも「かえってよかっ たよ」「逆に楽しいよ」「むしろ大歓迎だよ」と笑って事に当たっています。 かたわらから垣間見える状況が決して楽そうではないときも、あからさまに大変 さをかもし出したり不安がったりすることなく、そのときできることを黙々とや っている、そんな印象です。
「いつもどんと構えているねぇ」そう感心すると、「失敗した経験の量が半端じ ゃないからね」と。

たとえ成功者と同じことをしても、表面を真似しただけでは同じように成功できるとは限りません。成功した人のバックボーンには、成功に匹敵するだけの失敗の数々が隠れていることが容易に想像できるからです。判断ひとつにしても、わずかな経験でする判断と豊富な失敗に基づいた判断が同じはずはありません。

シャネルの生みの親であるココ・シャネルの名言に「人生が分かるのは、逆境の ときよ」があります。ウォルト・ディズニーも「逆境の中で咲く花は、どの花よ りも貴重で美しい」と言いました。大成功を収めた彼らもやはり「逆境」という 環境を前向きにとらえて果敢にチャレンジしていったのでしょう。
お正月のテレビ番組で、いまどき珍しい凧上げの光景を見ました。凧は風に向か っていくからこそ高く上がります。風に流されていては上がっていけません。
澄み渡った青空に高く高く舞い上がる凧を見ながら、逆境こそ人を強くさせる環境だと改めて思う新年でした。事の成るは逆境のとき。逆境を乗り越えた分だけ自分も商売も成長していくのでしょう。


待つ時間

更新日:2016年11月30日

年末年始は「待つ」ことが多くなりますね。忘新年会では席に座るまでに待たされ、道路は渋滞し、有名な神社で初詣をすれば寒い中で待つのは覚悟の上です。ところで「待つ」感覚は不思議だと思いませんか。

電車が遅れると5分でも愚痴が出るのに、おいしいと評判のお店では喜んで行列 に並びます。人間関係や個人的な感情も「待つ」時間を左右します。Aさんに待 たされると腹が立つのにBさんなら気にならない。気分が良い日は長く待てるの に気分が乗らない日は1分の待ち時間さえ我慢できない。人それぞれ「待てる時 間」と「待てない時間」があり、その境界線は本人にしか分かりません。しかし 誰にでも共通しているのは「待たされている」と思えばイライラし、「進んで待っ ている」ときはウキウキと心が弾んで待ち時間も気

にならないということです。
鹿児島県の屋久島では樹齢がおよそ1000年を超える杉を屋久杉と呼ぶそうです。屋久杉は成長が遅いことで知られています。屋久島は花こう岩の島なので岩が邪魔をして地下に根を張れず、十分な養分を取れないので成長速度が遅いそうです。しかし成長が遅いため年輪が詰まっており、独特の木目や模様を生み

出します。材質が緻密で長命なのも成長が遅いことの恩恵です。 過酷な環境下でゆっくりと成長するからこそ個性が際立ち、丈夫で長く生き残れ る。屋久島の杉が待つことをせずに成長を急いだら屋久杉は存在していないかも しれません。商売でも売り上げが伸びない、顧客が増えない、反応が悪いといっ た「待たされている感じ」はどうも居心地が良くありません。
たとえ同じ状況でも、力の限りやったからあとは自分を信じて良い結果を思い描いて過ごす。ワクワクしながらベストを尽くして天命を待つことができたら何よりだと思いませんか。私たちはこれからもいろいろな局面で「待つ」ことに遭遇します。同じ「待つ」なら自分が磨かれるような待ち時間にしたいものですね。今年もお世話になりました。良いお年をお迎えください。


答えは心の底にある

更新日:2016年10月31日

「分かりました」と言いながら、ちっとも分かっていない人。
歌の文句のようですが、このような人はたくさんいます。商売をしていればよくお分かりでしょう。本人に

悪気はありません。なぜならその場では分かったつもりでいるからです。ところが実際にはほとんど忘れてしまうので、結局また同じことを伝える羽目になります。本人に問題がある場合もありますが、「分かったつもり」は誰にでも起こる ことなのです。もちろん自分自身が「ちっとも分かっていない人」になっていることもあるでしょう。
さて、次の問いは行動変化を起こすための研修で使う手法です。

●聞いたことは(  ) ●見たことは(  ) ●やったことは(  )
(  )には「分かる/身に付く・覚えている・忘れる」のどれかが入ります。正解は、「聞いたことは忘れる」「見たことは覚えている」「やったことは分かる/身に付く」です。では、「(  )ことは使う」の(  )にはどんな言葉が入るでしょうか。「ふ(腑)に落ちる」の「腑」とは「心の底」のこと。口でいくら「分か りました」と言っても、心の底で納得しないとふに落ちないようです。それでは、心の底

で納得するためにはどうしたらいいのか。その答えが「(  )ことは使う」 につながります。「気付いたことは使う」もしくは「発見したことは使う」
要するに、自分で見付けたことは自ら行動に移すということです。自分で見付けたから忘れにくく、忘れないから使うという単純な原理ですが、そこには「自分で気付いた」という喜びがあることを見逃してはいけません。自分で答えを見付けた喜びが行動の第一歩になるのです。自分で考えなくてもすぐに答えが手に入る便利な時代ですが、それが行動に結びついていなければ、その答えにあなたは納得していないのかもしれません。まずは自分自身や目の前の商売を振り返ってみてください。あなたはその答えに心の底で納得していますか?


アホウドリに学ぶ商売の知恵

更新日:2016年9月30日

「アホウドリ」という名前の鳥がいます。一説には、ほとんど人間と接触しないので警戒心が少なく、簡単に捕まえられるアホな鳥だからという不名誉な理由でその名が付いたそうです。ところが、アホウドリはとても賢い人生設計で生きています。野生のアホウドリの寿命は15年から20年。野鳥では異例の長生きです。

1年に1回だけ産卵し、1回の産卵では1個の卵しか産みません。産卵後はほぼ1年かけてひなをかえし、育てて教育します。ひなの育成には多くの時間がかかるので卵を産まない年もあります。子育てする場所は絶海の孤島。場所は限られている反面、哺乳類などの外敵が来ないので安全に子育てできます。外敵の少ない孤島で長生きして子どもを大切に育てる。これがアホウドリの人生設計です。己をよく知った上での見事なやり方ですね。

アメリカのミッドウェー環礁国立自然保護区には、特に賢いアホウドリが住んでいます。推定年齢65歳以上。確認されている限りでは世界最高齢の野鳥というだけでも大したものなのに、つい数年前にも産卵し、これまでに30羽以上のひなを育てあげたそうです。

環境汚染などで生存環境が悪化する中、通常の3倍以上も生き続ける大ベテランのこのアホウドリを研究者たちは「ウィズダム(知恵)」と呼んでいるとか。肩書きが社長でも経営者にはなれません。経営者と呼ばれることはあっても、実際に経営ができなければニックネームと同じになってしまいます。「経営者の仕事はシミュレーションに尽きる」と言った人がいますが、確かに経営には知恵が必要です。ひょうひょうとしながらも商売がうまくいっているなら、その人は陰で何十回もシミュレーションをしてお金と人を動かしているのかもしれません。自分をよく知り、優先順位を的確に判断してシミュレーションを繰り返し、最善の策を取っていくのが経営だとすれば、アホウドリは立派な経営者です。経営者というニックネームに甘んじてはいけません。アホウドリに負けない商売設計で先へ先へと進んでいきたいものですね。


幸せの種をまこう

更新日:2016年8月31日

人の成功を素直に喜べないことは誰にでもあるでしょう。そんなとき「あいつは運が良かっただけさ」とか、「今回は俺に運が向いてこなかった」などと自分を慰めてみても後味は悪いものです。

マーフィーの法則によれば、運は均等にあるそうです。「この世に運のいい人も、悪い人も存在しません。ただひとついえることは、運を引き寄せられる人と引き寄せられない人がいるだけで、運は均等にあります」。たとえ自分に都合の悪いことがあっても「運」のせいにするのではなく、良い結果が後からついてくるような行動にシフトしてみませんか。今から100年以上前に、イギリスの作家ジェームズ・アレンが『「原因」と「結果」の法則』という本を書きました。成功哲学の祖デール・カーネギーにも大きな影響を与えた人です。その本にはこう書かれています。
「私たちがこれまで考えてきたこと(原因)が、私たちを、いまの環境(結果)に運んできたのです」。
つまり毎日の仕事は「原因という種まき」ともいえます。商売で成果が出たとしたら成果が出るような種をまいたということで、運が良かったわけではない。失敗も運のせいではなく、まいた種に問題があったから。

商売の浮き沈みを原因と結果の法則に当てはめるとこうなるのではないでしょうか。原因があって結果がある。至って当たり前のことですが、100年も前からいわれていることがちゃんと実践できていないから、つい運のせいにしてしまうのでしょう。原因は目の前にあるとは限りません。いつまいたか忘れてしまったような種が思わぬときに芽を出すこともあります。思うような結果にならないときは謙虚に結果を受け入れて、次は「良い結果」に結びつくような種をまく。この繰り返しを「仕事」と呼ぶのかもしれません。同書にはこうも書かれています。
「自分の環境を直接はコントロールできないかもしれません。でも、自分の思いは完璧にコントロールできます」。やはりすべては自分次第というわけですね。


週休3日の経営者

更新日:2016年7月29日

ソフトウェア販売会社アシストの創設者であるビル・トッテン氏は週休3日だそうです。
本社は東京ですが、土日月の3日間は京都で暮らして本格的に農業をされているとか。経営者だから自由に

しているのではありません。トッテン氏いわく「低成長が続く日本経済は縮小していくだろうから、雇用を維持しながら会社を存続させるには、賃金カットやワークシェアリングを進めたりして社員に負担を強いることになる。そうなったら休日を使った家庭菜園は食費の節約になるはずだ」と。つまりトッテン氏は会社と社員の将来を見据え、自分が1つのモデルケースになろうとしているのです。
同社は数年前から「週休3日」や「週1回在宅勤務」を導入したものの、なかなか社員に浸透しませんでした。そこでまずは自分が家庭菜園を始め、自給自足に近い生活にチャレンジして、それを見た社員がどう行動するかを待ったそうです。日本経済が今の6割になっても800人以上の社員をリストラしないと宣言しているこの会社は、経営者が自ら縮小時代への備えを率先して行動で示しているのでしょう。

経営者の仕事とは何でしょうか。試しにインターネットで「社長の仕事とは」で検索してみると、「理念を語る」「戦略の立案」「人材育成」などさまざまな意見がありました。どれも確かに社長の仕事です。しかし、大事な仕事が抜けているように思います。それは「経営者にしかできないこと」です。
トッテン氏の行動が社員に大きな影響を及ぼすのはトッテン氏が経営者だからであり、経営者の掲げる企業哲学に社員が共感を覚えるからです。朝一番にトイレ掃除をする。現場に出向いて社員を激励する。情熱をもって仕事に取り組む。どれも経営者が自らやるからこそ社員の心に響きます。逆に「経費削減だ」と言って極端に冷房などを節約し過ぎると、経営者がやるからこそ社員のモチベーションが下がります。「経営者にしかできない仕事」を今一度、自分に問うてみましょう。


100冊の名言集を読むよりタメになること

更新日:2016年7月5日

何かをしようとするとき、またはしているとき、私たちの意識は外を向きがちです。「外」とは「他人」や「世間」のこと。人の言葉や考えに学ぼうと、他人ばかりを気にしていませんか。世間にスポットライトを当て、世間に自分を合わせようとしていませんか。人の評価を気にしたり、誰かのせいにしてみたり、世の中が良くないとかやり方が悪いとか、外ばかりに目や心が向いていないでしょうか。

ここ数年は名言集がよく売れているようです。先人の英知にあふれた言葉にはありがたい教えがあり、名言に触れることで成長する自分がいるのも確かです。
けれど「あなたにとっての成功とは何ですか?」と聞かれたら、果たして自分の言葉で答えられるでしょうか。
外にばかり向かって追い求めようとする心を自分の内側に向け返し、本来の自分を照らすことを「回光返照」(かいこうへんしょう/えこうへんしょう)といいます。外に向けていたライトを内なる自分に向け、心の中を照らし出し、自分自身を省みるのです。

外に向かって求める心が悪いのではありません。回光返照とは「外にばかり心を向けて他人の考えをなぞっていると、本来の自分を見失ってしまいますよ」とい う禅の教えです。 時には内なる自分に光を当てて純粋な自分と向き合い、その自分が曇ったり汚れたりしていないか確かめてみてください。己の心を明るく照ら せば真実の自分が現れます。その自分でもう一度考え、取り組んでみましょう。
流行や人まねではなく、自分が大事にしたいこと、自分がやりたいこと、自分が求めること、自分だからできること。それが「真実」です。
チルチルとミチルが探し求めていた幸せの青い鳥は、結局のところ二人に最も身近なところ、家の鳥かごの中にいました。今、抱えている商売の問題や悩みも、最終的には自分で決断するとなれば、やはり答えは自分の中にあるのかもしれません。


真のリーダーの姿とは?

更新日:2016年6月2日

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」と言ったのは山本五十六元帥でした。「真のリーダーとは?」を論じるときによく引用される有名なこの言葉は、「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」と続きます。

また孔子が論語で述べた「能(よ)く五つの者を天下に行なうを仁と為す。恭(きょう)寛(かん)信(しん)敏(びん)惠(けい)なり」も、リーダーの心得として時代を越えた教えとなっています。
「恭」とは部下(相手)に対して敬意を持って接すること。丁寧で慎み深く振る舞えば、あなどられることはありません。「寛」とは部下(相手)に対して心広く寛大に応対すること。懐(ふところ)の広い人は慕われます。「信」とは発言と行動を一致させて信頼を得ること。言行一致は信頼関係のベースです。「敏」とは仕事が的確で迅速であること。すなわち実力が身に付いていることです。「惠」とは思いやりを持って人に接すること。部下や同僚、取引先といった周囲の人々に対して深い思いやりを示すと、そこに協調と自覚が生まれます。

各自が自分のやるべきことを自覚したとき、マンパワーは最高の形となって結果を導くでしょう。「リーダー」の定義に正解はありません。際だったカリスマ性で人々を魅了し、自分が輝くことでヒーロー的存在となって組織を統率するタイプのリーダーもいれば、陰の立て役者として人を輝かせることで求心力を発揮するタイプのリーダーもいます。どんなタイプのリーダーであれ、まずは自分が行動し、先に与えて、尊重し、信頼して見守る姿勢が不可欠ではないでしょうか。 最後に、「伝説の経営者」と呼ばれたジャック・ウェルチの言葉を添えておきます。「リーダーになる前は、成功とはすべて自分自身の成長を指している。だがリーダーになれば、成功とは他の人の成長を意味する


「うまい指示」と「まずい指示」

更新日:2016年4月28日

子どもの頃は親に学生時代は先生に、「分かったか?」と聞かれ、「分かりました」と答えながら本当は何も分かっていなかったことはありませんか。

会社では上司と部下の間で同じことが起こっているかもしれません。この場合、上司の指示が部下にちゃんと伝わっているかどうか、まずはそこから考えてみる必要がありそうです。例えば「定期的に顧客をフォローするように」という指示は「うまい指示」とは言えません。なぜなら「定期的」や「顧客フォロー」の内容があいまいだからです。「定期的」とは週に一度なのか1カ月に一度なのか。何をすれば「顧客フォロー」なのか。そこを部下に言わなければ指示の意図が伝わらず、上司としても「やった」「やらない」を評価できません。評価できない指示は「まずい指示」の典型かもしれません。
「先月に注文をしてくれた客先には週に一度、顔を出して、使い方で分からないことはないかを直接確認しておくように」。こうした具体的な指示なら部下は自分のやるべきことをイメージできます。上司と部下との間で「定期的」や「顧客フォロー」の認識がずれることもありません。指示に対する行動を評価することもできるでしょう。「うまい指示」の条件は、第一に相手が指示の内容を具体的にイメージできること。

具体的にイメージできないと実際の行動が伴わず、口先だけの「分かりました」になりがちです。次に、評価できる指示であること。「売り上げアップ」は一見評価できそうですが、どの程度が「売り上げアップ」なのかが不明瞭です。その点、いわゆる数値目標なら結果は一目瞭然で評価も可能になります。具体的で評価可能な「うまい指示」には、最低でも「いつまでに、何を、どうするか」が必要でしょう。「顧客と信頼関係を築いてこい」のひと言で信頼関係を築いてくる部下は優秀ですが、ごく少数だと思ったほうがいいかもしれません。言葉だけ投げかけても部下に行動を促すことは困難です。具体的なイメージができるからこそ、人は行動に移すことができるのではないでしょうか。


だからこそ「今日」という一日を大事にしたい

更新日:2016年3月31日

極めて短い時間を「刹那(せつな)」といいます。仏教の時間の概念において最小単位である「刹那」は、約75分の1秒だといわれています。

つまり「一瞬」です。絶え間なく続いているように思える時間は「刹那」の連続で、あっという一瞬の間にすべての物事が変化していることになります。刹那の連続で過去が現在になり、さらに未来へと連なっていくのでしょう。
この世に存在するあらゆるものは移り変わっていきます。すべてが一刻一刻、一瞬一瞬と変化して、変わらないものは何ひとつありません。それが「諸行無常」で、お釈迦様の悟りを表す言葉のひとつです。
「諸行無常」の意味を頭では理解していても、実感するのは難しいものです。
久しぶりに会った人の変化には敏感でも毎日、顔を合わせている人の変化には気付きにくく、何も変わっていないように見えることさえあります。自分のことも同じでしょう。10年前の写真を見れば変化は一目瞭然ですが、1年前くらいの写真では変化が読み取れないかもしれません。けれどそれは錯覚です。

私たちは1年ごと確実に変化しています。1年経てばひとつ年を重ね、その分だけ老いてもいます。1年で変化しているということは、1日ごとにも変わっているわけです。 1日で変化しているのなら1時間、1分、1秒、刹那ごとにあらゆるものが変化しているのでしょう。言い換えれば、刹那の連続で1年、10年、そして一生となっていくのです。こうしている間にもどんどん時間は過ぎていき、すべては変化しながら少しずつ老いて人生の終わりに近づいていきます。
時間は命と同じです。生まれたばかりの赤ちゃんも80歳の人も、残された時間が減っていくことに変わりはありません。実感するのが難しいだけで、誰でも刹那、刹那に命が失われています。時間の無駄遣いは命の無駄遣いだと思えば、少しは「今」を大事に生きられるでしょうか。お釈迦様の悟りには達せずとも、せめて「今日一日を大事にしよう」という気持ちで毎日を積み重ね、商売に精進していきたいものですね。


「集中ワード」で流れに乗る

更新日:2016年2月29日

最近、時間を忘れてまで何かに没頭したことがあるでしょうか。そこで今回は仕事に集中するためのヒントです。時間の感覚がなくなるほどある行為に没頭した状態を「フロー状態(flow=流れる)」と呼ぶそうです。

つまり流れに乗っている状態のことです。スポーツ選手がよく「無心で集中できました」と言ったりしますが、フロー状態では常に高い集中力を発揮できるので、パフォーマンスが向上して良い結果が出せるのでしょう。
さらに没頭しているフロー状態から一時的に起こる極限の集中状態を「ゾーン」と呼ぶそうです。動いている相手やボールが止まって見えたり、視覚や聴覚が非常に鋭くなったりするのは、「ゾーンに入った」ということです。
一流のスポーツ選手は自分でその状態を作り出せるので、ある程度意識的にゾーンに入ることができるといわれています。ゾーンを作り出す方法は人によりますが、ラグビーの五郎丸選手の「ルーティン」は、まさにゾーンに入るための集中の儀式でしょう。

以前は「フロー状態」も「ゾーン」も才能のひとつだと考えられていました。
しかし、さまざまな分野で集中力とパフォーマンス向上の検証がなされ、現在ではトレーニングや工夫次第である程度、集中力をコントロールできるとされています。一流アスリートのようにはいかなくても、集中力を高めるちょっとしたコツを覚えておいて、仕事がはかどらないときに試してみてはいかがでしょう。
おすすめは「集中ワード」。集中ワードとは自分のやる気を高める言葉です。あらかじめ紙に集中ワードを書いておき、集中力が落ちてきたらそれを見ます。
「達成したらおいしいものを食べに行く」などの自分へのごほうびや、「がんばれ!」「絶対達成!」「俺ならできる!」といった自分への励ましは想像以上にやる気を刺激するそうです。ちなみに印刷された文字より、自分の手書き文字を見たほうが脳は反応しやすいとか。商売の流れに乗るために今すぐ始められる方法ですね。


「良いことをすると良いことがある」という当たり前の話

更新日:2016年1月29日

先日、こんな話を耳にしました。主人公はあるタクシーの運転手。バドミントンと掃除とバイクが好きだという五十代の男性のAさんです。

Aさんの休日は掃除から始まります。午前中いっぱいかけて家の中を徹底的に磨き上げるそうですが、特にトイレ掃除は気合いが入るとか。設備会社で働いていた経験をいかし、便座は外して風呂場で水洗い。極めつけは便器の縁に小さな鏡を当て、見えないところの小さな汚れまでひとつ残らずきれいにするそうです。「トイレをピカピカにすると運が良くなると言いますけど、どうですか?」と尋ねられると、「トイレ掃除をした次の日はたしかにお客様が多いですね」とのこと。他の運転手が2時間以上も粘ったのに撃沈したタクシー乗り場にAさんが入れ替わりで行くと、5分もしないうちにお客様が乗り込んできて、しかもかなりの遠距離へ。そんなことが珍しくないそうです。

掃除が終わったら午後はバドミントンの時間。Aさんは30年のキャリアと実力の持ち主で、仲間と一緒に夜遅くまで汗を流します。「休みの日に朝から丁寧に掃除して、みんなでバドミントンして、たまにバイクにも乗って、これが私の最高の楽しみなんですよ。人生は一度だけだから一日一日を大切に過ごさないとね」。Aさんは、小さい頃に祖母から言われた「一日一善」を今でも心掛けているそうです。「良いことをすると良いことがあるんだよ。神様は見ているんだねぇ。不誠実なことはできないよ」。
考え方が人生をつくっていくと言ったのは京セラ創業者の稲盛和夫氏です。
人生や仕事の結果は「考え方×熱意×能力」だから、どんなに熱意や能力が高くても考え方がマイナスだと結果はマイナスになってしまうというわけです。経営者として自分の熱意や能力を存分にいかせる考え方をしているだろうか。お客様に喜んでいただけるよう誠実に良い仕事を追いかけているだろか。 Aさんのことを思い出しながら、ふと自問自答する今日この頃です。


「今年こそ!」から「今日こそ!」へ

更新日:2016年1月6日

お正月の風景もずいぶん様変わりしました。例えば福袋。かつては「お楽しみ」だった中身があらかじめ公開され、今は「お得感」や「実用性」に重きが置かれているものも多いです。「福」の意味や価値も時代や世相を反映して変わってきたのでしょう。しかし、「今年こそ!」と新年に誓いを立てたり、新しいことを始めたりするのは人の習いとして今も昔も変わりません。時間の区切り方は色々でも、

希望や期待を思わせる「新年」は事始めにもっともふさわしい区切りではないでしょうか。
大正から昭和にかけて活躍した作家の吉屋信子さんは、新年の思いを暦に託して「初暦 知らぬ月日の 美しく」と詠みました。まっさらなノート、まっさらなシャツ、色々な「まっさら」がありますが、まだめくられていない初暦ほど「まっさら」という言葉が似合うものはないでしょう。まっさらな暦には、まっさらな日々が眠っています。まっさらな日々には、まっさらな時間が詰まっています。今日から先は未知の世界であり、そこには個々の未来が静かに横たわっているのです。商売をしていればままならないことの連続ですが、暦を一枚めくれば

その日は「過去」になり、その下には希望や期待で輝きながら目覚めのときを待つ「まっさらな未来」がほほ笑んでいるのです。
商売は長丁場。行き当たりばったりで続けていけるものではありません。経営には長期的な展望や戦略が必要だとされますし、実際にその通りでしょう。しかしながらこれだけ時代のサイクルが速くなると、どれだけ長期的な目標を明確にしても10年後の社会情勢や環境がどうなっているかは誰も知る由はありません。
今のような時代には、少し先を見ながら「今年こそ!」を「今日こそ!」に替えて、暦を一枚ずつめくっていく感覚が似合っているように思えてなりません。初暦は未知の宝庫のようなものです。商売の成功や人生の充実というものは、「今日こそ!」の積み重ねの先にあるのかもしれませんね。


お金を手にして分かったこと

更新日:2015年11月30日

「除」には「古いものを捨てて新しいものに移る」という意味があります。ですから、古い年から新しい年に移る大晦日の「夜」を「除夜」というようです。除夜には、暮れゆく年を惜しみつつ一年を締めくくる様々な行事が行われます。108回突かれる除夜の鐘もそのひとつです。

ところで「108」という数は一般的に「煩悩の数」とされています。そもそも煩悩とは自分を悩ませるものや心を乱すもののこと。仏教の根本的な考え方でいうと人の煩悩は大きく3つあり、まとめて「三毒」と呼ばれるそうです。 1つ目は「貪(とん)」、必要以上に欲しがること。2つ目は「瞋(じん)」、自分の心に執着して思い通りにならないと怒ること。3つ目は「痴(ち)」、無知で愚かな考え方にとらわれること。要するに「欲」と「怒り」と「愚かさ」が私たち人間を悩ませ、心を乱すのでしょう。欲の対象はモノに限りません。「もっと○○だったら」と人をうらやむことも欲の一種です。もとより思い通りにならないのが世の中なのに、自分の考え方に執着していると、いつもイライラしながら暮らすことになりかねません。そうやって自分で煩悩を生み出してしまうのが人間の愚かさなのでしょうか。ある資産家がしみじみ話していたそうです。

それは「人間、どうしたって不安は消えない」ということです。お金がないのは不安だけれど、あればあったで今度は「このお金が減ったらどうしよう」と不安になるし、経済的に満たされても健康や人間関係の不安はつきまとう。商売で成功し、お金持ちになってはじめて「いくらお金があっても不安は消えないことが実感できた」というその人は、改めて「幸せって何だろう」と考えてみたそうです。その答えはあっけないほどシンプルでした。いわく、「今この瞬間を幸せだと思えることが幸せである」と。煩悩は十人十色でも、人生は「今」の積み重ねであることに変わりはありません。つまり商売の成功も「今」の積み重ねだということでしょう。今年も残りわずかです。「今」を悔のないように、商売に励みたいものですね。


商売繁盛の歴史は朝に作られる?

更新日:2015年10月31日

「朝は常に早く起きるように心掛けねばならない。遅く起きるならば、下の者までが気持ちを緩めてしまって、公務の大切な用事にも事欠くようになる。その結果は必ず主君からも見離されてしまうものと思って、深く慎まなくてはならない」。(『早雲寺殿二十一箇条』より)

これは、室町時代の武将・北条早雲の家訓の一節です。近年は朝の時間を有効活用する「朝活」が注目され、早起きをして仕事の前にひと仕事する人たちが増えています。時代は変わっても「早起き」という心掛けの重要性は変わらないのでしょう。「忙しい」を連発する人に限って時間の使い方がうまくないのは皮肉なものです。時間を制する者はビジネスを制する。その証拠に世界のCEOの多くが早起きです。例えば、スターバックスのハワード・シュルツ氏が毎朝4時半に起きる理由は、「21世紀の歴史は朝に作られる」という発想からで、ディズニーのロバート・アイガー氏も4時半に起きて新聞やメールのチェック、運動、テレビを見るなどして過ごすそうです。

アップルのティム・クック氏は、4時半にはすでに部下へ指示のメールを送っているとか。日本ではCoCo壱番屋で知られる壱番屋の創業者特別顧問・宗次徳二氏が有名です。もともとはお客様のアンケートハガキを読むために早起きを迫られたそうですが、いまや「人生の成功は早起きに始まる」が座右の銘になるほどの早起きに。毎朝4時前に起き、90分ほどかけて名古屋市の広小路通りを清掃するそうです。
早起き経営者に共通しているのは、起床後の行動が習慣化されていることです。 せっかく早く起きてもダラダラ過ごしたのでは意味がありません。毎朝やることを決めておき、朝の成果を意識して早起きすることが重要なのでしょう。時は金なり。時間は作り出すものです。「忙しい」を連発する前に起床時間を見直して、早朝という付加価値の高い貴重な時間に投資してみるのはいかがでしょうか。「商売繁盛の歴史は朝に作られる」、かもしれませんよ。


「良い質問」が「良い答え」を連れてくる

更新日:2015年9月30日

ミスをした部下に、あなたならどちらの声がけをするでしょう。
「なぜミスをしたんだ?」「どうしたらミスをくり返さなくなるだろう?」

質問する力を「質問力」と呼び、ひとつの能力としてクローズアップされるようになりました。「問いを立てる力」と言い換えてもいいでしょう。質問の仕方や問いの立て方で引き出される答えが変わってくるので、「相手が打ちやすい球」を投げましょうというわけです。先ほどの例でいえば、「なぜ」で理由を聞いてしまうと相手は言い訳を考え始めますが、「どうしたら?」と問いかけると自分で解決策を探すようになるそうです。世の中にはいくつかの有名な問いがあります。

例えば、マネジメントの父と称されたピーター・ドラッカーの「何のための経営か」、経営学者セオドア・レビットの「わが社は本当はどんな商売をしているのか?」。ど ちらも時代を超えた名言であり、本質を突いた問いでしょう。上手な質問によって交渉相手の本音を引き出したり、機転を利かせた問いかけでピンチを切り抜けたりと、商売でも質問力がものをいう場面は少なくありません。

ところで、肝心なのは「上手な質問」の中身でしょう。興味本位で自分が聞きたいことだけをポンポン投げかけても相手は打ち返してくれません。双方にとってのストライクゾーンに入る質問、つまり自分は聞きたいし相手は話したい(答えたい)と思っている質問を投げかけることができたら、商売に限らず人間関係全般がスムーズに運ぶのではないでしょうか。質問力は一種の能力なので訓練で上達します。では、質問力がアップするひとつのテクニックをご紹介します。

相手の本音が知りたいときは、何か相談事を持ちかけてアドバイスを求めてみてください。人はアドバイスを求められると「もし自分だったら?」と想像して、警戒することなく自分の考えを話してくれるそうです。さりげなく聞いてみましょう。
「あなたならどうしますか?」


商売は「幸せの病原体」

更新日:2015年8月31日

いつも元気な人と一緒にいると自分まで元気になる気がします。相手が笑顔だと自分も笑顔になっていきます。幸せは人から人へ伝染します。これはいくつかの実験や研究でも証明されている事実です。

米ハーバード大学が12000人以上を対象に、30年以上にわたって大規模な社会的実験を行いました。人の幸福度が他人に及ぼす影響力の調査です。それによれば日頃、接している家族や友人が幸せを感じていると、自分が幸せを感じる可能性が15%高まるという結果が出たそうです。しかも、自分とは直接関係のない人の幸せも自分の幸福度に影響するというのです。具体的には、人の幸福度は自分から数えて3人目まで影響するそうです。

例えば、あなたにAさんという友人がいたとします。そのAさんの友人のBさんが幸せを感じていると、Bさんの幸せがAさんに影響してあなた自身の幸福度が10%アップするというわけです。また、「日々の生活に幸せを感じている友人が1人増えるごとに、自分が幸せになる可能性は約7%ずつ高まる」とも報告されています。反対に、日々の生活が不幸だと感じている友人が1人増えるごとに、自分が幸せでいられる可能性は7%ずつ低下したそうです。数字はともかく、幸せというものは確実に人から人に伝わる「素晴らしい伝染病」なのでしょう。そして誰もが「幸せの病原体」になれるのです。

商売をしていると、つい売り上げや利益を最重要視しがちですが、そもそもは「人のお役に立ちたい」「人を幸せにしたい」という思いが商売の原点だったのではないでしょうか。お得意様、従業員、取引先と人間関係はいろいろでも、 商売をするなら「まずは自分から」の精神を忘れないようにしたいものです。「人から与えてもらおう」とするより、「まずは自分が与えよう」という気持ちから幸せのお裾分けははじまるのでしょう。
あなたの幸せが伝染して周囲も幸せになったら、これほど素敵で素晴らしい商売はありませんね。


ひがまない七訓

更新日:2015年7月31日

誰が言い出したのか定かではありませんが、「ひがみ七訓」をご存じでしょうか。

一、つらいことが多いのは、感謝を知らないからだ
一、苦しいことが多いのは、自分に甘えがあるからだ
一、悲しいことが多いのは、自分の事しか考えないからだ
一、怒ることが多いのは、我がままだからだ
一、心配することが多いのは、今を懸命に生きていないからだ
一、行きづまりが多いのは、自分が裸になれないからだ
一、あせることが多いのは、行動目的がないからだ

誰でも多少は身に覚えのあることだと思いますが、これを読んだある人は「まさにうちの社長のことだ」と苦笑していました。社長だからといって完璧な人などいませんし、商売は上手でも人間としてまだまだ発展途上の経営者はめずらしくありません。けれど世間は優秀な人が会社を経営するものだと思っている節があります。特に社員は、「社長なんだから人間としても立派な存在でいてほしい」と高い理想を掲げるものです。 先ほどの「ひがみ七訓」を「ひがまない七訓」にちょっとアレンジしてみました。読み比べてみてください。

一、「ありがとう」を言葉にすると、つらいことが減ってくる
一、ダメな自分も認めてあげると、苦しいことが減ってくる
一、身近な人を笑顔にできたら、悲しいことが減ってくる
一、我がままを上手に言えるようになれば、怒ることが減ってくる
一、自分にできることを頑張れば、心配することが減ってくる
一、自分と人を比べないようにすれば、行きづまることが減ってくる
一、「これが好きだから」と思ってやれば、あせることが減ってくる

商売も人間磨きも積み重ねこそ実力ではないでしょうか。
コツコツと歩を進めていきたいものですね。


自分に「次のステージ」を用意する

更新日:2015年6月30日

スピードが鈍るとき、物事が止まるとき、私たちの中では思考停止が起こっているそうです。
その理由は主に「慣れ」とのこと。毎日新しい場所に出掛け、新しい人に会い、新しい出来事が起こる。
そんな刺激的な日々を過ごしている人はそうそういません。毎日同じ時間に同じ場所へ出勤し、いつもの仕事をこなす日々。

商売も長く続けていれば多かれ少なかれ慣れてくるのは当然ですし、要領がよくなって上手に手を抜くことを覚えるかもしれません。しかし、思考停止の状態で仕事をしても達成感や充実感は得られないでしょう。 同じことをしながらも慣れないためにはどうすればいいか。ひとつは目的意識を持つことではないでしょうか。小さなことでもいいので、「今日これだけは絶対にやり遂げよう」という明確な目的意識を持って仕事に取り組む。 今さらな話ですが、漫然とできることでもあえて目的意識を持つことで、やり終わったときには達成感が得られます。達成感を味わうと脳ではモチベーション系のドーパミンが活発に働き、やる気が出るそうです。

要するに達成感は脳の活性化には重要な要素であり、次のモチベーションへの架け橋でもあるのです。人からの評価でも達成感は味わえますが、「与えられるもの」にはいずれ慣れてしまうのが人間の性です。 ましてや自分が思い描くように評価してもらえなければテンションは上がらないので、他者の評価を期待するのも思考停止に陥る原因です。 最良の方法は、達成感を得てやる気になる仕組みを自分で作っておくこと。つまりそれが「目的意識」です。 日々、目的意識を持って仕事に取り組み、自分で自分を評価して達成感を味わう。仕事の充実とは小さな達成感の積み重ねにほかなりません。その積み重ねた達成感が自信となって新たな意欲を生むので次が見えてくるのです。商売に慣れは禁物です。自分に目的意識という「次のステージ」を用意できる人は、間違いなく「慣れ」とは無縁でいられるでしょう。


社長に言いたい社員のホンネ

更新日:2015年5月26日

朝礼で経営理念の「思いやり」を説く社長に向かって、「社内で一番思いやりがないのは社長だよ」と心の中で毒づく社員。その本音は「難しいことはいいから、まずは社員から尊敬される社長でいてほしい」。

口先だけのねぎらいなど社員はすぐに見破ります。立派な態度で正論をぶっても 行動が伴っていなければ、社長という立場ゆえに余計見下されてしまうでしょう。 いくら雇用関係とはいえ、尊敬できない人のために頑張ろうとはなかなか思えないものです。
儒学の教えである「五常の徳」(仁義礼智信)のなかで孔子が唱えたのは「仁」と「礼」、すなわち「真心」と「礼儀礼節」でした。「人を使う立場にいながら寛大な心がなく、礼儀作法に従いながら尊敬の心がなく、葬儀に参列していながら哀悼の心がない。そんな、心の伴わない上辺だけの人間には何の美点もない」と説いた孔子にとって「心」と「言葉」と「行動」は三位一体の切り離せないものであり、とりわけ「心」が肝心だったようです。

心は外からのぞけません。だからこそ人生の最重要課題は「心を鍛えること」だとされています。「心」と「言葉」と「行動」の三者をいかに過不足なく一体化させるか。孔子が終生その問題を追及したのは、人を導くリーダーにとって何よりも大切なものは品位であるという考えからでしょう。社会の中で自らの分をわきまえ、誠実になすべきことをなし、自分ではどうにもならないこと、例えば立場や状況や能力の限界といった宿命的なものは潔く受け入れる。孔子のいう「品位」とは、こうした「生き方」 のことではないでしょうか。

メジャーリーグのオファーを蹴って古巣のユニホームを選んだあの黒田投手が多くのファンに愛されるのは「20億円より4億円」というお金の話ではなく、彼の心と言葉と行動が三位一体だからでしょう。いつの時代も「真心と礼儀礼節を持って事にあたり尊敬されるリーダー」を待ち望んでいるのではないでしょうか。

「終わり」をイメージすると見えてくるもの

更新日:2015年4月24日

人生をより良く締めくくるための準備を「終活」と呼ぶようになりました。最期まで精一杯生きることを自分に誓うための、自分に対する「喝」のようなものでしょう。「終わり」をイメージすると「今」が見えてくるといわれます。 長年、終末期ケアにたずさわってきたオーストラリアの女性看護師が書いた本からもそのことが読み取れます。彼女は、患者たちが死の間際に語る言葉を聴きとって一冊 の本にまとめました。

その本によると、死を間近にした人が口にする言葉のトップ5は、「もっと自分を幸せにしてあげればよかった」「友人といい関係を続けていられればよかった」「もっと素直に気持ちを表す勇気を持てばよかった」「自分自身に忠実に生きればよかった」、そして「あんなに一生懸命働かなくてもよかった」です。
誰もが悔いのない人生を望んでいますが、本をまとめた看護師によれば、死を覚悟した患者のほとんどが悔恨(かいこん)や反省の言葉を残すそうです。何かを犠牲にしてまで仕事をしたり、やりたいことを我慢したり、自分の気持ちを押し殺したり、友人と仲違いしたり。そのときはそれなりの理由があってのことだったとしても、振り返ってみれば「何より自分を大事にしておけばよかった」という患者たちの後悔は、私たちが今後の人生を考える上でとても示唆に富んでいるでしょう。

「今日が人生の最後だと思って今日を生きる」というのは、人生の後悔を減らすひとつの考え方です。あのスティーブ・ジョブズも、「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか」と毎日、自分に問いかけていたそうです。それでもし「ノー」が何日も続いたら、「何かを変えろ」というサインであろうと――。 単に商売を続けることだけが多くの経営者の目的ではないはずです。「終わり」をイメージしたときに浮かぶ後悔や反省こそ、商売を通じて成し遂げたい真の目的ではないでしょうか。

形の折り目、心の折り目

更新日:2015年3月24日

日本には「道」という考え方があります。「空手の道を極める」といえば、空手(武道)の精神真髄を学んで習得し、明らかにすること。その過程は「形から入り心に至る」です。

武道では、技の習得とともに礼節の大切さも合わせて指導しています。礼とは相 手を尊敬し、自分を謙遜し、行いを丁寧にすること。節とはその場に応じた行動 をわきまえることです。しかし、こうした精神論だけを説かれてもなかなか理解 できません。そこで、稽古の前後に正座で黙想し、道場訓を斉唱してお互いにあ いさつを交わすという「形」を繰り返す中で礼節の意味と大切さを理解して、そ れが身につき、やがて「心」に至るのだそうです。
誰にでも気持ちよくあいさつができ、自然と感謝の言葉が出て、敬う立場の相手には敬意をもって謙虚な態度で接する。昔の日本人なら普通にやっていたことでしょう。それが今では、あいさつができるだけで「ちゃんとしている」とほめられるような時代です。「感謝だ」「思いやりだ」「おもてなしだ」と声高に訴えても、形が崩れていたのでは心には至れないのではないでしょうか。

心という目に見えないものを整えるには、心としっかりつながっている「形とし ての所作(しょさ)」を整えることが大切なのだそうです。わきまえのある所作は 誰の目にも美しく映るだけでなく、礼節を重んじる人や折り目正しい人は周囲か ら好感を持たれ、信頼され、たくさんの人に慕われるでしょう。たとえ初対面で も、相手のことをよく知らなくても、私たちは所作という形から多くを感じ取っ てその人を判断しています。
心を整えたければ所作を美しく。折り目正しい行動は心の折り目を正します。色々なことを頭で理解していても、それらを当たり前のこととして実践している人は存外少ないのが世の常ですが、「まずは自分から」の気持ちで振る舞いに気を付けたいものです。商売繁盛とは、そうした先にあるのかもしれません。

拙を守る

更新日:2015年3月9日

桜より一足早い春告花の「木瓜(ぼけ)」は、昔から俳句の題材として親しまれてきました。文豪の夏目漱石も大の木瓜ファンだったと聞きます。小説『草枕』では、「木瓜は面白い花である。枝は頑固で、かつて曲った事がない。そんなら真直かと云ふと、決して真直でもない。(中略)そこへ、紅だか白だか要領を得ぬ花が安閑と咲く。柔らかい葉さへちらちらつける。評して見ると木瓜は花のうちで愚かにして悟ったものであろう」と主人公に語らせています。

木瓜の花言葉には「先駆者」や「指導者」のほかに「平凡」があります。 梅によく似た花姿を個性がないと見た人がいたのかもしれませんが、漱石はその 様子を「拙(せつ)」と表現し、「木瓜咲くや 漱石拙(せつ)を 守るべく」とい う句を詠みました。「稚拙(ちせつ)」や「拙劣(せつれつ)」の言葉からも分か るとおり「拙」とは下手なこと、つたないことを意味しており、「拙を守る」と は漱石が生き方の基本として好んだ言葉だそうです。不器用で世渡り下手を自覚していた漱石ですが、器用で如才ない生き方に憧れていたわけではありません。むしろその逆で闇雲に利を追求するくらいなら、要領は悪くてもあえて拙を曲げない愚直な生き方を貫きたいという思いを込めて先の一句を詠んだのでしょう。

何かと巧みさが注目を集める世の中ですが、下手で不器用だから成功しないと考 えるのはいかがなものでしょうか。自らの不器用さを自覚している人は不器用を 克服するために懸命に努力します。片や、もともと器用な人はさほど苦労しなく ても上手くいくため、得てしてあくせくしないものです。 努力なくして成長もないとするならば、成功の決め手は「器用」「不器用」ではな いように感じます。むしろ器用であるゆえに努力を忘れ、そこで成長が止まって しまう恐れもあります。足りないところを補う努力を忘れずに、不器用ながらも高い志を持ち、拙を守って自分らしく商売を続けていけたらどんなに素晴らしいことでしょう。

胸に秘める

更新日:2015年1月26日

あの訃報から約3ヶ月が経ちます。日本人の美学を集約したような稀代の名優、高倉健さんは、最期までご自身のスタイルを貫き通して旅立たれました。高倉さんは読書家で、特に山本周五郎の描く男たちの世界に強く共感されていたことは有名です。中でも『晩秋』という短編がお好きだったと聞きました。

藩の立て直しを図るために情け容赦ない政治を執った進藤主計(かずえ)は、君 主が代替わりすると過去の悪政の裁きを受ける身となりました。審判が下るまで の間、主計の身の回りの世話をすることになった都留(つる)は、かつて主計が 切腹を命じた家中の娘でした。亡き父の遺志を果たすため懐剣を胸に主計の世話 を続けていた都留はある日、主計と客人の会話を盗み聞きし、主計の真意を知る ことになります。最初から覚悟の上で悪役となり、世間からどんなに恨まれよう と藩政改革のためにたゆまず屈せず闘ってきたこと。目的が叶った今、「進藤主計」 を悪政の首謀者として裁くシナリオを描いているのは、ほかならぬ主計自身であること。切腹を命じたある家中に対して今でも堪えがたい無念の気持ちを抱いていること――。

物語の最後、主計は「自然の移り変わりの中でも、晩秋という季節のしずかな美しさはかくべつだな」と晩秋を称えます。都留はそれを聞きながら、すべてを自分の胸の内に秘めて人生の幕を引こうとする主計の人生に思いを馳せるのでした。 「想いの強さ」というものを考えたとき、言葉に出したり人に伝えたりすること が自分の活力になる場合があります。成功者の多くが「夢を語れ」と指南するのは、言葉のパワーが物事を動かすことを体験的に知っているからでしょう。
しかし、逆もまた真なりではないでしょうか。つい自分を主張したくなるのが人間ですが、強い信念は胸に秘め、愚痴も言い訳もなしに課せられた使命を果たし、一切の責任を自分が負った進藤主計の気高さは、そのまま孤高の名優に重なります。改めて高倉健さんのご冥福をお祈り申し上げます。

一行三昧

更新日:2014年12月25日

新年にあたり今年の目標を立てた方も多いでしょう。ぜひともその目標を達成するために、「一行三昧(いちぎょうざんまい)」の気持ちで取り組んでいきたいものですね。「これ」と決めたら心をひとつにして邁進することを「一行三昧」といいます。そこで、一行三昧がどのようなことかを物語る興味深い逸話をご紹介しましょう。

古代中国・漢の李将軍は勇猛な武人で知られた人物であり、特に弓術では天下無 敵と称えられていました。ある日、猟に出かけた将軍は一匹の大きな虎に出会い ます。大虎は将軍から遠く離れた場所にうずくまっていました。将軍はすぐさま 矢を構え力の限り弦を引き、虎に向かって放ちました。矢は見事に獲物をとらえ 虎の体に矢が立ちました。「これはしめた!」と将軍は勢い込んで虎のそばへ走 り寄りますが、虎だと思っていたのは実は虎の形をした大きな岩だったのです。岩に矢が立つなど古今東西聞いたこともない。将軍は得意になり、もう一度やって見せようとばかりに再び矢を射りますが、何度やっても二度と岩に矢が立つことはありませんでした。

最初に「虎だ」と思ったときは、虎を射止めようとする一念以外、ほかには何も なかった将軍は、まさに「一行三昧」だったのです。ところが、岩に矢が立った と知った後では、「俺の弓術はさすがだろう。どうだ見ておれ」という雑念が邪魔 をして、一行三昧になりきれなかったのです。
茶人の千利休は茶の湯の極意を、「火をおこし、湯を沸かし、茶を喫(きっ)する までのことなり、他事ある可(べ)からず」と述べたそうです。様々な作法や決 まり事がある茶の湯の世界にあって、なおそのことにしばられず淡々と茶をたしなむ。まさに一行三昧の極みです。
言うは易く行うは難しではありますが、素直な心で日常生活に向き合うことも一行三昧だそうです。時に弱い心に負けてしまったとしても、何度でも奮起して前を向き専心していきましょう!

「ふだん」を大事に

更新日:2014年11月26日

年の瀬には新年に向けて「新品」を揃えたくなるものです。そんな心理を知ってか知らでか、この時 期になると風水で金運がアップするという「黄色い財布」の広告をよく見かけます。もちろん黄色い財 布にかえただけでお金が貯まるわけはなく、大前提として「基本」というものがあります。  例えば風水では、「水まわりをきれいにして風通しをよくしましょう」などといわれますが、ふだんの環境を整えることで「良い気」を呼び込み、結果として金運がアップしたり運気が良くなったりすると考えるのが自然でしょう。

商売をやっている人の中には縁起や験(げん)を気にする人が少なくないようです。昔から言い伝えられてきたことは、言わば先人の知恵のようなもの。特に年末年始のような大きな区切りのタイミングには、襟を正す意味も込めて縁起や験をかついでおくと何かご利益に授かれるような気もします。しかしながら「黄色い財布」の効果と同じく、いちばん大事なのは「ふだんの心がけ」であることはいうまでもないでしょう。

人生の処世哲学書として三百年以上も読み継がれてきた『菜根譚(さいこん)』の前集16項「四つの戒め」に、「利益は人より先に飛びつくな。善行は人に遅れをとるな。報酬は限度を超えてむさぼるな。修養はできるかぎりの努力を怠るな。」とあります。強調より協調を、競争より協奏を。

日頃からそんな心持ちで仕事をしていれば、商売の神様も喜んで味方してくれるというものでしょう。 ところで、「金運アップの財布なんて子ども騙しを誰が買うのかと思っていたら、夫のお財布がいつの 間にか黄色にかわっていた」と笑うのはある社長の奥様。「財布より妻を大事にしたほうがいいことあ るよ」と手厳しいご意見ですが、確かにどんな縁起をかついだところで、ふだんから自分を気遣ってく れる人をないがしろにするようでは商売がうまくいくとは思えません。慌ただしい年末年始ですが、ど うか「ふだん」を大事にお過ごしください。

社長のためにひと肌脱ぐか

更新日:2014年10月31日

人は何のために働くのか――。内閣府の調査でも民間のアンケートでも、半数以上の人たちが「働く目的はお金(収入)を得るため」と答えています。 実際、お金を稼がなければ生活できないので当然の答えではありますが、経営者にとって従業員の仕事に対する意欲やモチベーションは気になるところでしょう。

人は本当にお金のためだけに頑張れるのか。今から80年ほど前に行われたある実験にひとつのヒントがありそうです。有名な「ホーソン工場実験」です。 実験では継電器の組み立て作業を行う6人のチームを作り、「賃金」「休憩時間」「軽食(おやつ)」などいくつかの条件を変えながら作業効率がどう変化するのか観察していきました。 賃金を上げる、休憩時間を増やす、休憩時間におやつを出す、これらの条件下では実験が進むにつれてチームの作業効率はアップしていきました。こうした中、今度はすべての条件を元に戻してみたのです。賃金の額も休憩時間も元通り。軽食サービスは廃止。さて、チームの作業効率はどう変化したでしょうか。

意外なことに、労働条件をすべてリセットしたにもかかわらず作業効率は上がり続けました。 つまり作業効率が上がった直接の原因は、賃金に代表される物理的な「労働条件」ではなく「人間関係」である。 これが実験から導き出された仮説でした。労働条件の変化によってチーム全体の雰囲気がよくなり、そこにチームワークが生まれたことで生産性が向上したというわけです。

人は一般的に、自分に関心や期待を寄せてくれる相手の気持ちに応えようとする傾向があります。「大変な仕事だけどこのチームでならやっていける」「このリーダーのもとでなら頑張れる」という個人的な感情が、働く意欲やモチベーションの多くを占めているとするなら、「社長のためにひと肌脱ぐか」という社長ファンになってもらうことが究極のチームワークでありリーダーシップなのかもしれません。リーダーたるもの「魅力的な人」であり続けたいものですね。

社長の人柄を磨くために九思あり

更新日:2014年9月30日

商売がうまくいっているケースを見ると、結局は社長の人柄がものをいうのだろうと考えさせられることが多々あります。「100万分の1グラム」という世界最小の歯車を生み出して、一躍脚光を浴びた樹研工業の松

浦元男社長は、地元の暴走族などを社員として受け入れてきたことでも知られています。創業以来、人の採用は先着順。学歴も国籍も性別も問わず、履歴書も見なければ面接も試験もなし。 「誰もが無限の可能性を秘めた存在」が松浦社長のモットーで、その背景には「人は本来“善い生き物”」という前向きな姿勢で人を信用しようとする気持ちがあるようです。 成果主義や合理主義とは正反対の松浦流経営手法を、「そんな精神論は聞き飽きた」と思う方もいるかもしれません。

松浦社長自身も最初は「こいつらで大丈夫か?」と疑心暗鬼だったそうです。 しかし、入社したばかりの社員には工場で徹底的に基本を叩き込み、世界に通用する技術者に育て上げる仕組みを整え、何年もかけて人材を育成した結果が「世界最小の歯車」につながりました。 前向きな姿勢で人を信じる気持ちがあれば社員は期待以上の成果を出す。この信念は、そのまま松浦社長の人柄に通じているといえるでしょう。 リーダー(君子)の資質について多くの言葉を残している孔子は、『論語』の中で「君子に九思あり」と説いています。 孔子自身が立派なリーダーでありながらも、常にこの「九思」をもって自らを磨いていたのです。

1.物事の本質を明確に見ること 2.人の話はちゃんと聞くこと 3.穏やかな表情を保つこと 4.謙虚にふるまうこと 5.言行一致で誠実に話すこと 6.仕事は慎重かつ尊敬の念を持って行うこと 7.疑問があったら質問すること 8.怒るときはしこりが残らぬようにすること 9.うまい話にはのらぬこと 社長の人柄は多かれ少なかれ商売に影響を与えるようです。だとすれば、九思の実践は容易ではありませんが、自分を成長させる糧として、ひいては商売を成功させる策のひとつとして先人の教えを心に刻んでおきたいものです。


「今」に最善を尽くす

更新日:2014年8月29日

ある社長が、ひょんなことからまったく異業種である親友のマッサージ店を手伝うことになったそうです。成り行き上なんとなく始めたことですが、気がつけばマネージャーとして約10人の社員をとりまとめ、ゴチャゴチャだった経営方針を整理して、会社の方向性の舵取りをして、今では本業よりマネージャー業の方が忙しいくらいだとまんざらでもないようです。

社長は、まったく畑違いの分野にいきなり飛び込んで成果を上げた理由を、「専門家になろうとしなかったから」だと自己分析したそうです。社長にマッサージの専門知識があれば何かとスムーズだったかもしれません。実際、「何も知らない素人に言われたくない」という雰囲気を感じたこともあったそうです。

しかし、社長は積極的に勉強しようとはしませんでした。むしろ、社内改革には自分の素人目線が武器になると踏んでいたようです。 長らく同じ業界にいると、その業界の常識が世間の常識だと思い込んでしまいがちです。無意識のうちに業界の固定観念が物事の判断基準になっているので、外からの意見に対しては「○○なはずだ」「○○するべきだ」と聞き入れようとしない。

つまり、 専門家になればなるほど視野が狭くなるという皮肉が起こり得るのです。専門家とは「できない理由」を探す人かもしれない。そう感じていた社長はあえてマッサージ業界から少し距離を置き、素人目線をなくさないようにしたと言います。 そのため時には突拍子のない意見も出しますが、業界に染まっていないからこそのお客様目線のアイデアはその何倍もあるそうです。専門家として高度な知識や技術を役立てるのは素晴らしいことですが、残念ながら「井の中の蛙」になってしまった専門家も少なくありません。
専門家になっても「できない理由」を探し始めることにならないよう、お客様目線を忘れずにまずはやってみようとする「素人のチャレンジ精神」を大事にしながら商売をしていきたいものですね。


「今」に最善を尽くす

更新日:2014年7月31日

経済は感情で動くといわれます。また、世界情勢も感情で動くといわれます。なぜなら人が感情で動くからです。商売にもやはり感情が入り込みます。例えば同じ失敗をしても許される人と責められる人がいるのは、受け取る側の「好き嫌い」や「たまたまの気分」によるところも大きいでしょう。

取引相手の気分によって商売に不利益がもたらされるのは残念な話ですが、あなたの感情も商売相手に影響を及ぼしているかもしれません。仕事に私情は禁物だという意見はごもっともです。しかし、実際は商売の様々な場面で多少なりとも感情が影響を及ぼし、しかもその割合は決して小さくないようです。たとえ無意識でも感情に左右されるのはお互い様。それを理解した上で商売のやり方を見直すと、自分だけで決着する事柄は思いのほか少ないことに気付くでしょう。

つまり商売では、相手にゆだねなくてはならない部分がけっこう多いということです。経営者の中には何から何まで自分でコントロールしないと気が済まないタイプの人がいますが、相手にゆだねる部分がある以上、すべてをコントロールするのはなかなか難しいものです。なぜなら人の感情をコントロールするのは、売上げを伸ばすこととはまた別の能力だからです。

また、すべてに全力投球する姿勢は素晴らしいことだと思いますが、 自分の「感情」というボールを常に相手に全力投球することが必ずしもよい仕事につながるとは限らないでしょう。
相手の真意を探るためにおどけたふりをしたり、相手に花を持たせるためにあえて7割のところでやめたりといったことが必要な場面も多々あります。
相手の感情をコントロールするより、感情の影響力を最小限にとどめる工夫をする。常に最強で行こうとするより、「今」に最善を尽くす。 それがよい仕事につながっていくのではないでしょうか。目の前の仕事や出来事に意識を向けて、今の状況に最も適した判断と行動をすることで、移ろいやすい感情に振り回されることなく、自分自身のブレない軸をしっかり持ち続けていきましょう。


365日が楽しくてたまらない!

更新日:2014年6月30日

若者のクルマ離れが進んで若者相手の販売台数が伸び悩んでいる今、メーカーはクルマの「使い道」を提案するCM作りに余念がありません。カッコイイ走りを見せるのがかつてのCMなら、今は親子で海に行くシチュエーションを設定したり、荷物の多いママに「こんなに収納があって便利ですよ」と呼びかけたり、クルマの使い道を懸命にアピールしています。販売店でもクルマの使い道を具体的に提案しながら、「このクルマがあると○○できて便利ですよ」「このクルマに乗って○○に行きましょう」などとお客様にイメージさせるのだそうです。

欲しいものを積極的に求める能動型の消費が影を潜めるなか、消費者の興味を引くために企業は様々な工夫をします。 使い道の提案はそのひとつでしょう。 何かを連想させることで消費者の背中を押し、消費行動を刺激しようというわけです。オンライン書店のアマゾンなどは顧客の購入履歴や閲覧履歴から、同じ著者の別の作品や関連性の高い商品などを「おすすめ商品」としてページ内で推薦しています。これは「レコメンデーション(推薦)機能」と呼ばれ、顧客の検索履歴や購入履歴から次の購入を促そうというサービスです。

時と場合によっては煩わしくも感じられますが、何となく気になってお勧め商品をクリックして、「これはいいかも!」とそのまま購入してしまうことは確かにあります。自分の視点だけでは探し出せなかったものに出会い、意識していなかった自分の欲求に気付く。レコメンデーション機能は、連想によって気付きを与え、行動させるための新しい消費ツールといったところでしょうか。
物と情報に溢れた現代は「選びきれない」時代ともいえます。 商売でも「連想させて背中を押す」方法で、顧客の選択肢に分け入っていく工夫が必要なのかもしれません。

けれどそれはマーケティングうんぬんではなく、突き詰めれば「お客様に喜んでもらえるようどれだけ知恵を絞っているか」ではないでしょうか。


胸に秘める強い信念

更新日:2014年5月30日

ある会社のA社長は組織というものを「クルマ」に例えていました。
今では当たり前のように使われている「有言実行」という四字熟語。ご存知のように「言ったことは必ず実行する」という意味で、責任を問う場面などでよく耳にします。しかし、「有言実行」はもともとの言葉ではなく、「不言実行」から派生した造語のようなものだそうです。

不言実行とは、文句や理屈を言わずに黙って「なすべきことをする」こと。
かつて、奥ゆかしさや慎ましさをよしとした時代には、不言実行が美徳とされました。「古者の、言をこれ出ださざるは、躬(み)の逮(およ)ばざるを恥づればなり」とは孔子の『論語』の一節で、昔の賢者が軽々しく言葉を口にしなかったのは、自分の言葉に実行が追いつかないのを恥としたためであるといった意味でしょうか。つまり、自分で言ったことを実行できないのは恥だと考えていた孔子は、言葉には慎重であるようにと説いたのです。
軽はずみな言動は恥どころか信用を失います。孔子の言うとおり言葉には慎重でありたいものですが、最近は有言実行の意味合いが「やろうとしていることを口に出す」に変わってきて、不言実行より立派な態度だと見なされる傾向があります。 そのせいか、自分の思いや目標を口にしてアピールすることが、成功の秘訣だという風潮も感じられます。口ばかりの「有言不実行」に比べたら、約束事を口にして自ら退路を断ち、覚悟をもって行動することは大したものです。

しかし、 努力を人に言わず、 その姿を見せもせず、人知れず淡々とひたむきに成果を出し、けれど自慢することもなく、それでもなお努力を続けることは、純粋に自分との勝負である分、口に出す以上に強い信念が問われるものです。

気軽に言葉にしないで胸の内に秘めた思いが本物であれば、やがて成熟して実りの時を迎えるでしょう。そのときあなたの言葉にはさらに重みが増し、振り返ればそこには確かな足跡が刻まれていることだと思います。


血の通った組織

更新日:2014年4月30日

ある会社のA社長は組織というものを「クルマ」に例えていました。
「クルマはエンジンやハンドルやタイヤなど様々な部品の集合体だが、部品だけを集めてもクルマにならない。各部品がコードでつながってはじめてクルマという完成品ができあがり、ようやく動くようになる。これは組織も同じだろう」と。組織には上下関係がありますが、上下の関係だけで成り立っているうちは単なる人の集合体で自主性も協調性も創造性も期待できません。

しかし、上下関係の中にも横のつながりが生まれるとチームとして機能しはじめます。横のつながりとはクルマでいう部品同士をつなげる「コード」のようなもの、すなわち人間関係なのです。
ところが、人間関係にはクルマをつくるような「決められた工程」がありません。相手にも感情があるので、「今から人間関係を結ぼうじゃないか!」「そうしよう!」とはいかないから苦労するのだとA社長は言います。
そこでA社長が心掛けていることは、部下から「この人は信頼できそうだ」と思ってもらえる行動だそうです。基本は小さな約束を守ること。つまり言動の一致です。

明日の朝電話する」と言ったら翌日の朝一番で電話を入れる。それが小さな用事でも、朝一番で電話する必要性がなくても、約束を守ってもらえると「私はこの人から大事にされている」と感じて、自然と相手に好意を持つものだとか。心理学的には「信頼」と「好意」は同一次元のポジティブな感情とされており、相手から好意を持ってもらえると信頼関係を築きやすいのだそうです。「すぐに確認してきます」と言って悠長に歩いて行く人と、その場から急ぎ足で立ち去る人と、 どちらが好印象かは比べるまでもありません。言葉と行動の一致は好意につながります。好意は「見えないコード」となって人と人を結び、やがて「信頼」というクルマが動き出します。上下関係だけでも仕事はできますが、そこに人間同士の付き合いがあれば血の通った組織となるのでしょう。


プラス思考が成功の邪魔をする?

更新日:2014年3月31日

目標の達成や夢の実現にはプラス思考が大切だと言われます。成功するためには「成功したイメージを思い描きましょう」とも言われます。物事をポジティブに捉え、明るい未来をイメージするのはよいことだと思いますが、そのプラス思考が成功の足かせになっていたら・・・。ある実験をご紹介しましょう。

心理学者のリチャード・ワイズマン博士は、やる気を高める心理について大規模な調査を行いました。対象者は目標や夢の実現を目指す世界中の人たち5000人以上。就職、ダイエット、結婚、禁煙など各々が目標を掲げ、調査を開始した当初は大半の人が自分の成功を確信していたようです。 ところが最終的に目標を達成した人はわずか10%でした。目標達成に向けて「効果があった」と報告された方法で多かったのは、「段階的に着実な計画を立てる」「目標を人に話す」「成功した場合に起こる相乗効果を考える」「小さな目標を達成したら自分にご褒美を与える」「目標達成までの進捗を記録する」でしたが、興味深いのは「効果がなかった」とされた5つの行動です。

1.成功した人物を思い浮かべてやる気を起こす 2.失敗した場合に起きる嫌なことを考える 3.目標達成を邪魔するマイナス要因を頭からしめ出す 4.意志の力に頼る 5.成功者になった素晴らしい自分を思い描く つまり、プラス思考だけでは物事は改善しないし、成功した自分を思い描いても成功しない。 それどころか逆効果だというわけです。自分にハッパをかけ、成功者を思い浮かべ、成功した自分の姿をイメージしてきた経営者にはショッキングな調査結果でしょう。 イメージトレーニングの効果はスポーツ選手などが証明していますが、今のイメトレは「成功した自分を思い描く」より「失敗したときにどう対処するか」により重きを置いているようです。理想は高く、けれど「失敗した場合に起きる嫌なこと」を直視して、さらに次の克服法を具体的に考える。これがワイズマン博士からの目標達成に向けたアドバイスです。


我、人と逢うなり

更新日:2014年2月28日

誰に出逢うかで人生は大きく変わると言われますが、果たしてそうでしょうか。曹洞宗の開祖である道元禅師が中国に渡り念願の師に出逢ったとき、その喜びを「まのあたり先師(せんし)をみる。 これ人にあふなり」という感動の言葉で表しました。求め続けた師に逢うためにはるばる海を越え、ついに願いが叶ったとき道元禅師は思ったのです。自分一人で考えて行動したのでは分からないことがある。

人との出逢い、それがすべての始まりであると。これを禅語で「我逢人(がほうじん)」と言います。「我、人と逢うなり」という意味ですが、「誰」と出逢うかではなく、出逢いそのものの尊さを三文字で表したものです。 人はみんな違った考え方を持ち、それぞれの人生を生きています。自分と似ている人はいても同じ人は一人もいません。 ですから人は出逢いによって自分とは違う価値観に気付いたり、自分の中で答え合わせをしたりして少しずつ成長していけるのでしょう。
人との出逢いは未知なる自分との出逢いでもあります。人に出逢わなければ

自分の世界はいつまでも広がらず、深みも増すことなく目の前の景色は変わっていきません。人がうらやむような出逢いでも、傍からはちっぽけに見える出逢いでも、「人が人に出逢う」ことにおいてはすべて同じ「出逢い」でしょう。 確かに「誰」に出逢うかで人生は変わりますが、そもそも人と人との「出逢い」そのものがありがたいとなれば、良い出逢い・悪い出逢いの区別はありません。 そのときは後味の悪い出逢いだったとしても、あとから振り返ったときに「あの出逢いがあったからこそ今の自分がある」と省みることができたなら、それこそ成長の証でしょう。 商売はご縁のたまものです。人との出逢いを大切にして、「良い・悪い」で判断せずに出逢いそのものを楽しみたいものです。出逢いを大切にしていれば出逢いが出逢いを呼びます。つまりそれは人を大切にすることだろうと思います。


時は「?」なり

更新日:2014年1月31日

時間に対する考え方や習慣と年収の関係を調べた調査結果があります。 年収400万円台の人たちと1500万円以上の人たちに、「人生の目的や目標を常に意識している」「仕事の目的や意味を常に考えている」「やりたいことリストを作っている」「グチを言わない」「迷ったら新しい選択肢を選ぶ」などの質問をしたところ、どの設問に対しても「当てはまる」と答えた率が高かったのは年収1500万円以上の人たちでした。

目的意識を高く持って常にチャレンジし、失敗してもクヨクヨしないで先に進む。つまり年収の差を生む要因のひとつは「時間」に対する考え方で、「時間」の意識が高い人ほど成功の確率が上がるのかもしれません。
「お金と時間はどちらが大切か」というのは古くて新しい問いです。際限なく増やしたり貯めたりできて、しかも貸し借りまでできるお金に対して、増やすことも貯めることも貸し借りもできず、一度失うと二度と取り戻せない時間のほうがはるかに 大切な資源だというのは、商売をしている人なら常々感じていることでしょう。 しかし、「たいていの経営者は、その時間の大半を“きのう”の諸問題に費やしている」(ピーター・ドラッカー)。これが現実かもしれません。

西洋のことわざは「時は“金”なり(Time is money)」ですが、商売上手で知られる華僑の人たちは「時は“命”なり」と言うそうです。 これは相手の時間に対しても同じことが言えるでしょう。例えば商談のために1時間作ってもらうのであれば、商談相手の命の中の1時間分を分けてもらっていると考えるのです。商談に15分遅れたら相手の命を15分間ムダにしたことになります。何の準備もなしに適当な商談をしたら、相手の命はもちろん自分の命も1時間分のムダ遣いです。改めて時間の重要性に意識を向けてみたいですね。 濃密で意義のある時間を過ごせるかどうかは、商売の成功と共に豊かな人生のためのテーマでしょう。


馬の視野を持って邁進しましょう!

更新日:2013年12月27日

今年の干支である「午」を動物に当てはめると「馬」になります。馬にちなんだ故事ことわざはいくつもありますが、座右の銘にあげる人が多い故事成語といえば 「人間万事塞翁が馬」でしょう。幸せと不幸せは予測のしようがないというたとえで、だから目の前のことに一喜一憂しても仕方ないというわけです。せっかくなので

語源をご紹介します。ある老人が大事にしていた馬が逃げてしまい、気の毒に思った近所の人が老人をなぐさめると「これが不幸とは限らない」と平然としています。 しばらくして逃げ出した馬が立派な馬を連れて帰ってきたので近所の人がお祝いに行くと、今度は「これが幸福とは限らない」と老人は言います。息子がその馬で落馬して骨折したときも、老人はお見舞いに来てくれた近所の人にまたしても「これが不幸とは限らない」と言うのです。 1年後、大きな戦争が起こりました。大勢の若者が犠牲になった中、老人の息子は無事でした。落馬による骨折で足を悪くしたので兵役を免れたのです。ただ、これが幸福とも限りません。こんな実話もあります。 小さい頃から「点描」(小さな点で作品を描く画法)で絵を描いていたフィル・ハンセン少年は、点描のやりすぎで手が震える病気になり、思うような「点」が描けなくなってしまいました。そのため泣く泣くサラリーマンになりました。

しかし、どうしても芸術家になる夢をあきらめきれなかったフィルはある日、手の震えに任せた「点」のようなもので見事な作品を描き上げました。X線技師として働きながら、今ではマルチメディアアーティストとしても活躍しているフィルは言います。「制約があるほうが創造力を発揮できる」と。
ところで、 馬の瞳孔は横長で、顔の左右に目がついているので視野は350度にも及びます。真後ろ以外を見渡せる馬のようにはいかないとしても、できるだけ広い視野を持って商売にのぞみたいものですね。人生、何が幸いするかわかりません。目の前の小さなことに一喜一憂せず今年も邁進していきましょう!


たまには右や左、上や下を見ることも大切

更新日:2013年11月29日

65歳の誕生日に社長の座を息子に譲ったある男性のお話です。長年、小売業を営んできた彼は、「経営者からふつうのオジサンになって最初にやったのは、養護学校の文化祭を手伝うボランティアでした」と話していました。社長退任の時期も、ボランティア活動も60歳から決めていたそうです。
養護学校の文化祭の当日、担当するクラスの生徒たちにあいさつをしました。

「名刺なしの自己紹介なんて学生時代以来だなぁ」と感慨深かったそうです。クラスの出し物はポップコーンの販売で、彼は14歳のK君と一緒に会計係を頼まれました。ところが、「主役は子どもたち。自分はフォローする立場」と自分に言い聞かせてK君を手伝っていたつもりが、気が付けばお金をもらって食券を渡す一連の作業をすべて彼がやっていたそうです。
小売業者としてお客様をお待たせしない商売を心掛けてきた彼は、今までの癖で「K君がもたもたしているとお客様を待たせてしまう」と思ってしまったのです。しかし、確かにK君は言葉も手の動きもおぼつかず、食券と一緒に100円玉を渡してしまう状態だったそうですが文句を言う人は一人もいません。

お待たせしたらお客様がイライラすると気にしているのは自分だけで、目の前のお客様たちはK君が一生懸命にやっている姿をニコニコしながら待っている。
こんなときでも合理的に効率を重視してしまう自分に、冷や汗が出る思いだったと彼は振り返っていました。ふつうのオジサンになった彼は改めて考えたそうです。文化祭では小売業のプロである自分より、K君のほうがよほどお客様との距離が近かった。長年、お客様のために頑張ってきたつもりだが、 「お客様のため」とは一体何だろう。自分は本当にお客様のほうを向いた商売をしてきたのだろうか。経営者からふつうのオジサンになってはじめてそう感じたそうです。 「経営者のときはお客様のためにと脇目も振らずに突き進んだけれど、前ばかり見ていると大切なものを見落としてしまいますね。たまには右や左、上や下も見ないといけないですね」と彼は言っていました。


平常心是道

更新日:2013年11月1日

「平常心是道(びょうじょうしんぜどう)」は禅語の中でもっとも有名な一語でしょう。曹洞宗の瑩山(けいざん)禅師は、平常心を次のように言い表したそうです。
「茶に逢うては茶を喫し、飯に逢うては飯を喫す(さにおうてはさをきっし、はんにおうてははんをきっす)」。お茶が出てくればお茶を飲み、ご飯のときにはご飯を食べる、ただそれだけのこと。つまりそこに雑念はないというわけです。 日常の当たり前の行ないを積み重ねる。余計なことを考えず、当たり前のことを丁寧に行なって大切に育んでいく日々が「平常心」というもののようです。小さいことにクヨクヨせず、

細かいことにこだわることなく、毎日を伸び伸び生きて人生を味わい尽くせたらどんなに素晴らしいでしょう。しかし、人は泣いたり笑ったり、悩んだり苦しんだりしながら生きていくもので、心が揺れ動くのは当たり前です。 商売をしていればなおさらのこと、「ふだん通りにしよう」「緊張してはだめだ」と平常心を意識した途端に平常心を離れてしまうという皮肉が起こるものです。

人の心を動揺させる8つの要素を禅の言葉で「八風」と言います。 8つの要素とは「利、衰、毀(き)、誉、称、譏(ぎ)、苦、楽」。利(うるおい)は成功すること。衰(おとろえ)は失敗すること。毀(やぶれ)は陰で誹(そし)ること。誉(ほまれ)は陰でほめること。称(たたえ)は面と向かってほめること。 譏(そしり)は面と向かって誹ること。苦(くるしみ)は苦しいこと。楽(たのしみ)は楽しいこと。
人生の波風はほとんどが「八風」のどれかであり、「八風」に動じることなく天辺の月のような不動心を持って生きるようにと戒(いさ)めた禅語が「八風吹けども動ぜず天辺の月」です。今年も残り少なくなり日ごとに慌ただしさが増していきますが、 あれもこれもと考えすぎれば八風に足をすくわれます。今できることに心を尽くして、「当たり前」を大事にしていきましょう。商売にも人生にも近道はありません。


自分をプレゼンテーションする「力」

更新日:2013年10月1日

ある日、一人の社長が知性的な女性秘書を従えて、プレゼンテーション会場に乗り込んだそうです。名の知れた経営者が20人ほど参加する身内的な集まりの中で、彼は新しい事業のプレゼンをすることになっていました。時間はわずか3分間。誰かのピンチヒッターだったようですが、彼にはビッグチャンスです。

とはいえ百戦錬磨の猛者達を相手に、資金も人脈も知名度も実績もない人がプレゼンをしても、普通なら相手にもされないでしょう。ところがその場の全員が彼のプレゼンに真剣に耳を傾け拍手喝采し、彼の事業に支援を申し出た人までいたそうです。プレゼンの3分間に奇跡が起こった・・・のであればドラマティックですが、実はすべて彼のシナリオ通りだったようです。 プレゼンをすることが決まったとき、彼はまず「自分」をプレゼンする方法を考えたそうです。どこの馬の骨かもわからない男の話を聞いてもらうには、プレゼンの前に第三者に自分を底上げしてもらうしかない。社会では人をだます行為は決して許されないが、自分をアピールするプレゼンの場だからこそ演出として認められる場合もある。 そこで彼は知性的な女友達に「1日だけ僕の秘書になってほしい」と依頼したのです。プレゼン当

日、女性秘書は猛者達と名刺交換する彼のとなりで、にこやかに微笑みながら絶妙なタイミングで彼を立て、彼の経歴や将来のビジョンを的確にかつ手短に伝え、その間に飲み物を用意して猛者達に勧めたそうです。
「私は社長の素晴らしいビジョンに共感を覚えています」。気立てが良くて気が利いて賢い。こんな秘書からそれほどまでに敬意を示されるこの男は、ただ者ではないかもしれない。彼はこうして名刺交換の時点から「自分をプレゼン」し、成功するための土壌づくりをしたのです。彼は言いました。 「経営者には優れたプレゼン力が必要だ」。資金や人脈や知名度がなくてもプレゼン力があると自分や会社、商品のファンを増やすことができるのです。多くの人から応援してもらう仕組みづくりや戦術を考えることは、経営者にとって大切な仕事のひとつではないでしょうか。


今日は何をしましたか?

更新日:2013年8月30日

ある女性フィットネスインストラクターにヨガを習うと、たとえ初心者でも上手にヨガのポーズができている気になるそうです。体調不良の人が彼女のレッスンを受けると、なぜか「今日は調子がいい」と思えてくるとか。彼女が特別な技能を持っているわけではないそうですが、ある面においては一流なのでしょう。

それは、彼女はどんなときも、誰に対しても、マイナスを口にしないというとこです。相手が愚痴ろうが後ろ向きなことばかり言おうが、彼女は必ずプラスの言葉を返すのだそうです。 かといって、「大丈夫!」「あなたならできます!」と単に発破をかけるだけのポジティブシンキングではないようです。
「なかなか上達しない」と嘆くと、「同年代の方に比べたらよく体が動いていますよ」と励ましが返ってきます。「今日は調子が出ないな」とふて腐れ気味の人に対しては、少しでもできているところを最大限にクローズアップして「今日も収穫がありましたね」と声がけします。こうしてプラスの言葉をシャワーのように浴びているとだんだんその気になってくるもので、彼女のレッスンを受けた人は「自分はまだまだいける!」とエネルギーが湧   き上がってくるそうです。人をその気にさせることにおいて、彼女は一流の指導者と言えるのではないかと思います。

彼女のように「自分はいける!」と思わせてくれる人が周りにいる経営者は幸せ者です。しかし、社員をほめることはあっても自分がほめられる機会が少ないのが経営者です。だから経営者は、自分で自分をその気にさせ続けていく努力や工夫が必要なのかもしれません。
毎晩、寝る前に次の言葉を自分に問いかけてみてください。「今日は何をしましたか?」。本を読んだ、講演を聴いた、人に会った、なんでもかまいません。何も思い浮かばない日は、とにかく「今日も良くやった」と自分で自分をねぎらいましょう。自分をその気にさせる一流の指導者は、自分自身にほかなりません。


先人の商売魂に学べ!

更新日:2013年8月1日

全世界で2000万部以上を売り上げ、いまだに売れ続けている成功哲学の名著『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)に「Win-Win(ウィン・ウィン)」という言葉が出てきます。「Win」とは「勝つ」という意味で、Win-Winとはすなわち、自分も勝ち、相手も勝つことです。

関係する両者ともにメリットがある状態を「Win-Winの関係」だとして、例えばビジネスならいい競争をすることで両者が儲かり、お客様が喜んでくれれば会社も儲かり、地域社会が活性化すれば近所の店がみんな儲かるといった考え方です。 『7つの習慣』が大ヒットしたことで世界的に一躍脚光を浴びた「Win-Win」ですが、考えてみれば昔の日本人は「Win-Win」を商売の信条にしていました。
大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人のひとつ、近江商人の心得に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」があります。売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足して、さらには商いを通じて地域社会の発展に貢献する。売り手・買い手・世間(地域社会)の三方に良い商売こそまっとうな商売だという考え方は、まさに「Win-Win」でしょう。 江戸から明治にかけて、近江商人は「三方よし」で信用を得て日本各地で活躍したのです。もうひとつ、これまた近年注目されている言葉に

「ホスピタリティ」があります。
「思いやり」とか「心からのおもてなし」などと訳され、外資系ホテルのリッツ・カールトンやディズニーランドのサービスは「ホスピタリティにあふれている」と賞賛されますが、「おもてなしの心」は日本人のお家芸だったはずです。 「せっかくだからもっと喜んでもらいたい」「そのためには何ができるだろう」。こうした細やかな気遣いや配慮の精神は、私たちの心や体の中に脈々と受け継がれているのです。
スマートな外来語に踊らされず、ここでもう一度、「古き良き商売魂」を再認識しておこうではありませんか。先人たちに学び直すことはたくさんありそうです。


ただ闇雲に数字を追うと飽きてくる

更新日:2013年7月1日

メタボなお腹を気にしているある男性が、毎日30分のウォーキングを始めました。
3週間ほど続けたところで周囲から「痩せたね」と言われるようになり、あと5キロ体重を落とそうと気合いを入れ直した途端、なかなか体重が減らない停滞期がやってきました。彼は体重計に乗るたびに「また今日も減ってない」とガッカリして、結局1ヶ月半ほどでウォーキングをやめてしまったそうです。「体重が減らないか

らウォーキングがつまらなくなった」その気持ちはよくわかります。ただ数字だけを追っていると、いずれは飽きてしまうでしょう。目標を立てるときは、具体的な数字を示した「数値目標」が望ましいと言われます。目標値が明確であれば評価が可能になり、達成感を得やすいからです。 しかし、数値目標が目先の数字を追いかけるだけのゲームになってしまったら、数字をクリアしたときは満足できても結果が出ないときには粘り抜けません。 思うように進まなくても飽きずに努力を続けていくには、数値目標の先に「何か」が必要です。「何か」とは、いわゆるイメージです。

先ほどの男性ならメタボが解消されて体調が良くなり、さらには痩せてスーツが似合うようになった自分を「最近○○さん素敵になったわね」と女子社員がうわさして、おおいに自尊心をくすぐられる。そこまでのイメージをしっかり描いていたら目先の数字ではなく、そのイメージを追い続けてもう少し頑張れたかもしれません。例えば社員が個人の数値目標を立てるとき、 その数字が会社から一方的に与えられた売上目標のようなものであれば、ウォーキングの男性と同じことが起こるでしょう。売上目標はもちろん大事ですが、数字の根拠となるイメージはもっと重要です。売上目標という数字の先にあるビジョンを社員がイメージできる工夫をしているかどうか――。せっかく目標を立てるのなら闇雲に数字を追うのではなく、経営者も社員もワクワクするような楽しいビジョンを共有しようではありませんか。


やり続けるだけの信念はあるか

更新日:2013年5月31日

5月に行われた「カンヌ国際映画祭」に数年前から「アトリエ」という部門が新設されました。企画段階のシナリオを約15本選び、その監督やプロデューサーをカンヌに招待し、映画祭の期間中に様々な出会いを用意して映画制作のための最高のチャンスを提供する。つまり若手監督の支援です。

ちなみに、企画段階のシナリオは世界中に何万本とあります。世界的に有名な映画祭でその中の15本に選ばれるとはどういうことか、もうお分かりでしょう。
今年のアトリエに招待された監督の1人はニューヨーク在住の日本人男性でした。二十歳そこそこで渡米してから四半世紀以上、寝ても覚めても映画のことばかり考えて奔走した彼は、大金が動くシビアな映画業界の仕組みに何度も煮え湯を飲まされました。 元々役者だった彼は、あの唐沢寿明さんと同期です。お互いに売れなかった時代、夢を叶えるためには端役でも何でもやった唐沢さんが大物俳優と呼ばれるようになったとき、まだ何者でもなかった彼は改めて腹をくくったそうです。 命を賭けている映画を生活の糧にしたくない。だから自分の作品を世に出して、映画監督として認められるまでは絶対に死ねない。アトリエに選ばれたシナリオは、彼が15年前に書いたものでした。何十人ものプロデューサーにプレゼンしても結局話がまとまらず、こうなったら全財産を突っ込んで自己資金で作ろうと撮影に踏み切ったのが昨年のこと。

その後、編集作業に追われていたときに届いた朗報が「カンヌご招待」だったのです。これを機に彼の映画人生は大きく変化していくでしょう。 成功者に成功した理由を尋ねると、多くの人が同じことを言います。
「成功するまでやめなかったから」
本当に成し遂げたいなら成し遂げるまで続けることです。
毎日毎日そのことを真剣に考えて、今できることをやってみる。これは物事の大小によりません。できるまでやる。挫折してもやり続ける。だからこそ信念が問われるのでしょう。


「結果」より「努力」をほめる

更新日:2013年5月1日

「為せば成る 為さねば成らぬ何事も」で知られた米沢藩主の名君、上杉鷹山(ようざん)は、人を動かす方法を「してみせて、言ってきかせて、させてみよ」と説きました。これをもとにしたと言われるのが山本五十六元帥の名言、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」です。

教育者としても知られ、人望に厚く部下にやる気を出させることが非常に上手かった山本五十六は、模範を示し、指導して、実際にやらせる上杉鷹山流のやり方に「ほめる」を加え、理論ばかりでは人は動かないことを暗にほのめかしたのでしょう。 人の心が動くのは感情が刺激されたとき。まずは心が動かなければ人は動きません。
「ほめて伸ばす」は人育ての定説です。最近では人のほめ方を学ぶ「ほめる研修」を導入する企業もあるようです。しかし、人をほめることは意外と難しく、「どんな言葉をかけたらいいのかわからない」という声をよく聞きますが、ほめ方で最も大事なのは「ほめ言葉」より「何をほめるか」でしょう。かつて、

ニューヨークの小学校で興味深い実験が行われました。小学4年生に簡単なパズル課題を与え、課題終了後に生徒をほめました。そのとき、「頭がいいんだね」などと結果をほめられた生徒は、続く実験で自尊心を守るためにチャレンジを避け、最終的に成績がダウンしてしまいました。片や「よく頑張ったね」などと努力をほめられた生徒は、続く実験で実力以上の課題にチャレンジして成績を伸ばしていきました。 つまり、「結果」をほめると失敗を恐れるようになり、「努力」をほめると困難に直面してもくじけなくなる。あくまでも可能性の話ですが、ほめるポイントによって及ぼす影響が変わってくる点は見逃せません。
ビル・ゲイツ氏は、部下が大失敗しても全力を尽くしたならば怒らなかったそうです。結果より努力を認めてほめる。ほめて心が動いたら、社員や部下たちは自らの意思で次のステップへと歩み始めるのでしょう。


何のためにメモを取るのか?

更新日:2013年4月1日

今では社長となったAさんは、新入社員を迎えるシーズンになるとサラリーマン時代に経験したある出来事を思い出し、襟を正すそうです。

それは社会人一年生になった年のことでした。商談の帰り道にいきなり先輩から怒られたAさんは慌てて記憶をたどりましたが、商談中にミスをした覚えはありません。「お客様がしゃべっているとき、君はまったくメモを取っていなかっただろ?」。先輩の指摘にAさんは「なんだそれか」とホッとしました。
確かにAさんはメモを取らなかったそうですが、それは記憶力に自信があったからです。「私は一度聞いたことは忘れないのでご安心ください」。Aさんは得意の記憶力を駆使して商談から得た顧客の情報を先輩に披露しました。我ながらの記憶力に、「ほら先輩、よく覚えているでしょ」と自慢したい気さえしていたそうです。
しかし、Aさんは大きな勘違いをしていたのです。「君の記憶力はたいしたものだ。自分で覚えているというなら、それはそれでいい。だがね、メモは自分のためにあるんじゃない。相手のためにメモを取る。それが仕事というものだよ」。 人の記憶力は大して当てになりません。メモというのは忘れてしまうことを前提にした対策です。
それなのに大事な商談でメモを取らなければ、「この人、本当に大丈夫かな?」と相手は不安に思うでしょ

う。自分が忘れないためにはもちろん、相手のためにもメモを取る。それがたとえポーズでも、相手の話を真剣に聞いていることを伝えるためにメモを取る。 それが社会人としての第一歩だという先輩のアドバイスでAさんは、今ではメモ帳を持ち歩くようになったそうです。30年も前のこの出来事は、「何のためにそれをするのか」という本質的な問いをいまだにAさんに投げかけます。
「自分のためだけなら商売にあらず。利益最優先ならお客様のためならず」。
今年もAさんが襟を正す時期がやってきました。


「質」で勝負する前に「量」で稼ぐ

更新日:2013年3月1日

人間もある程度成熟してくると「量より質」という考え方にシフトしていくようです。焼き肉食べ放題よりA5ランクのお肉を少量。人生を逆算する世代になれば人間関係も質重視で、本当に信頼できる仲間こそが財産と思うようになってきたりもします。しかし商売においては、「量」の追求がものを言う場面もあります。例えばお客様と良い関係を築いていくには「質」の前に「量」、つまり接触の回数が重要ということ

です。といっても「数打ちゃ当たる」の「回数」ではありません。人間の心理には「見ることは好きになること」という側面があり、好みや判断は「どれだけそれに接してきたか」で決まっていくそうです。接触回数が増えると人は無意識のうちに「差」を見るようになります。差を見ると選好度が上がっていくのが普通です。
だから、繰り返し見せられたCMの商品を手に取りがちになったり、テレビでよく見かけるタレントの好感度が高かったり、結婚相手がどことなく自分の両親に似ていたりといったことが起こるのです。こうした現象は、1人のお客様に対する接触回数を増やしていくことが信頼関係につながる可能性を示唆しています。

反りが合わないお客様を「苦手なタイプ」と大ざっぱにくくるのではなく、あえて会う回数を増やして細かく観察してみましょう。 その人のどこが苦手なのか。最初から苦手だったのか。途中から苦手になったなら、それ以前と何が変わったのか。どうすればその人に対する苦手意識が減るのか。こうして「苦手意識」に差をつけていくと、だんだん嫌悪感が減っていくのが人間本来の特徴だそうです。反対にお客様からのウケが良くない場合も、懲りずにちょくちょく顔を見せることで関係性が好転するかもしれません。 お客様との関係をまずは「量」で稼いで、それなりに機が熟したところで今度は「質」で勝負する。何もしない土地にいきなり種を蒔くよりも、地道に耕した畑に種を蒔いたほうが芽が出やすいことは言うまでもありませんね。


それは「理由」?それとも「言い訳」?

更新日:2013年2月1日

物事の理由のなかで最大にして最高の理由は「好き」と「嫌い」でしょう。どんな理由をいくつ並べても、「だって好きだから」あるいは「だって嫌いだから」以上の理由はなかなか見つかりません。「好き」「嫌い」を決めるのは人間の本能的な部分なので、相手にそう告げられたら「そうですか・・・わかりました」と引き下がるしかほかになく、そこに反論の余地はまったくありません。「好き」と「嫌い」はそのくらい強烈に個人的な理由であり、一種の最終勧告であり、だからこそ最大にして最高の「言い訳」にもなってしまいます。

例えば、釣りが趣味なら「釣り」を楽しめばいいでしょう。魚が釣れても釣れなくても、好きな釣りを思う存分楽しめば大満足です。しかし、「魚を釣る」という仕事を与えられた場合には事情が一変します。魚を釣らなければならない以上、何がなんでも魚を釣る。このとき釣りが好きかどうかは一切関係ありません。釣りが嫌いでも魚を釣る。道具がなければ自分で道具を用意して、釣れる場所を探してそこまで出向き、一生懸命に努力をして実際に魚を釣り上げなければなりません。

ところが、いざ商売で大きな問題に直面すると「好きなことだから」とか「嫌いなことまでして」などと自分自身に言い聞かせるようにしてその場から逃げてしまう。
このようなことは誰もが経験したのではないでしょうか。現実的に商売は、どんなことがあっても利益を確保しなくては長く続きませんし、苦手でも頭を下げる営業が必要な場合もあるでしょう。 自分にとっての「好き」「嫌い」は最大にして最高の「理由」だからといっても、商売を営む上では最大にして最高の「言い訳」になりかねません。目の前に大きな壁が立ちはだかったとき、「できない理由」は簡単に探せます。そうであるならば、きっと「できる理由」も見つけ出すことができるはずです。 自分に「言い訳」をしていないか?時にはそのような視点から商売を省みることも大切でしょう。そこには大きなヒントが隠れているかもしれません。


「毎朝」にスタートラインを引く!

更新日:2012年12月28日

新年は大きな区切りで、気持ちを改める良いタイミングです。しかし、「芸術は爆発だ」でおなじみだった岡本太郎さんは、「計画を実行したければ、元旦にスタートを置くなんていう手ぬるいものじゃなく、毎朝にスタートラインを引くべきだな」と言っていたようです。

毎朝をスタートラインにするくらいじゃないと、人間はすぐに慣れてしまうということでしょう。ちょっとでも気を緩めたら清々しい新年の気分は2〜3週間もするとだらけてしまい、「今年こそ!」の意気込みも数ヶ月ほどで尻つぼみになってしまいます。
仕事も人生も「慣れ」との戦いです。熟成する「熟れ」は成長を意味しますが、「慣れ」てしまうとそこから先の伸びがありません。
サービス業を営むある方が、仕事を始めて3年目に先輩経営者からこう言われたそうです。「商売を始めて2、3年すると仕事に慣れてきて余裕ができる。すると誰でもお客様の文句や愚痴を言うようになるけれど、実はそこが分かれ目だよ」。そのまま文句を言い続ける人は、「あの人が悪い」「景気が悪い」といつまでも何かのせいにします。だから商売もそこ止まり。一方、一時は文句を言っても、そこで自分を省みて「自分もいけなかった」と気付く人は、それからお客様の文句や愚痴を言わなくなります。そんな人が商売で成功していく例を

たくさん見てきた先輩経営者は、ちょうど仕事に慣れて文句が出始めたその方に「どっちの道を選ぶのか」と暗に促したようです。 同じことを長く続けていれば自然と慣れてしまいますが、そこはあえて自分にカツを入れたいものです。
文句や愚痴が多くなり、人のせいにするようになったら「慣れ」のサイン。何事も人のせいにしないで自分の問題として解決していく過程には、「熟れ」はあっても「慣れ」はありません。そのためにも毎朝をスタートラインにする意気込みで、今年も懸命にチャレンジしていきたいものですね。


お客様の心に響く農耕型の商売

更新日:2012年11月30日

商売がうまくいっている人にその秘訣を聞くと、「秘訣は特にありません」といった答えが返ってくることがあります。しかし、そのあと必ずと言っていいほど次のように続きます。「ただお客様を大事にしているだけです」。目先の顧客を次々と狙い撃ち、仕事が済んだら「はい、さようなら」。そんな、「どうせ一度限り」と「心無い狩猟型の商売」をする会社が勢いを増した時代もありましたが、それはいつの時代も許されないやり方です。

やはり商売は心を込めた「農耕型」のスタイルでありたいものです。農業の場合、田畑を耕して種を蒔き、芽が出たら手をかけて育て、収穫のあとは次の収穫に備えて準備をします。この手順は、商売にも当てはまるのではないでしょうか。営業して新規顧客を獲得し、お客様との信頼関係を築き、顧客フォローでリピーターを作っていく。
目先の収穫より収穫前後により手間をかける農耕型の商売は、顧客を大事にすることで次の仕事へと可能性が広がり、お客様が新たなお客様を呼ぶ好循環が生まれます。目先の収穫より収穫前後により手間をかける農耕型の商売は、顧客を大事にすることで次の仕事へと可能性が広がり、お客様が新たなお客様を呼ぶ好循環が生まれます。

A社長は時折、お茶菓子を持ってあるお年寄りのお宅を訪ねるそうです。90歳を超えたその家のおばあさんはA社長の訪問を心待ちにしており、しばらく一緒にお茶を飲んだあとでA社長が帰ると、すぐに息子に電話で報告するそうです。県外に住んでいる息子は、そのA社長の会社の顧客です。彼の実家がたまたまA社長の会社の近くだったことから始まった、ひょんなご縁でした。「Aさんがお菓子を持って訪ねてきてくれた。ありがたいことだ」と母親から報告を受けるとき、一人暮らしの親を心配しながらもなかなか実家に顔を出せない息子は、どれほどA社長に感謝することでしょう。ひとつのご縁を大事に育てるA社長の顧客網は県外へと広がり、このご時世でも商売は順調とのことです。以前、地元紙から商売の秘訣を取材されたA社長は、「お客様に喜んでもらえることを考えながら、お客様を大事にしてきただけです」と答えていたそうです。


「何のために?」と問うてみましょう

更新日:2012年11月1日

ある親子の会話を聞いて笑ってしまいました。「もっと勉強しなさい」という母親の小言に小学生くらいの息子が「なんで勉強しなきゃいけないの?」とふて腐れると、一瞬言葉に詰まった母親が歯切れ悪く答えました。

「なんでって・・・、それが知りたかったら勉強しなさい」。まるで禅問答です。
人の意欲を奪う最大の要因は「目的がわからないこと」ではないでしょうか。ある国には、ひたすら穴を掘らせておいて、その穴をもう一度埋めさせるという刑罰があったそうです。何の目的もなく穴を「掘り」、そしてまた「埋める」を繰り返す。 そこには「刑罰」という目的はあっても、行為そのものが生み出す目的は何もありません。「何のために?」がわからないままひたすら同じことを続けるのが、どれほど苦痛でどれほど虚しいか。 この刑罰を考えた人はよほど人間心理に精通していたのだろうと想像します。
「目的」とは、言い換えれば「問い」を立てることではないでしょうか。あるラーメン店の店主に「毎日毎日ラーメンを作って飽きませんか?」とたずねると、彼はさらっと言いました。「ラーメンを作るのが仕事じゃなくて、接客が仕事ですから」。

つまり、ラーメンを作ることが日々の作業になってしまい、それを目的に仕事をしていたら飽きるだろうということです。
「お客様に喜んでもらいたい」。彼が商売をする目的はここにあり、「そのために何をするのか」という「問い」に向かって彼は日夜、仕事をしているのでしょう。
商売では、「何をしたらいいのか」「どうしたらうまくいくのか」と途方に暮れることがしばしばあります。しかし、そんなときこそ「何をするか」の前に、まずは「何のために?」と自分に問い直してみたいですね。
大事な商売がいつの間にか苦痛な「刑罰」になってしまわないためにも、改めて「何のために?」と今一度「商売の目的」を考えてみたいものです。


焦って頭が真っ白になってしまったら

更新日:2012年9月28日

最近は料理を楽しむ男性が増えました。料理と仕事は通じているところがあり、「要領の良さ・悪さ」がはっきり表れます。 野菜を茹でながら肉を焼いて、料理が仕上がると同時に洗い物まで終わっている要領の良い人もいれば、一品作るだけで台所が地獄絵図のような有様になる人もいます。

これを仕事に置き換えれば「なるほど」と納得するでしょう。 要領が良い・悪いは性格や考え方にもよりますが、焦るあまりに緊張して要領が悪くなってしまうような場合には、誰にでもできる対処法があります。 それは、「とりあえず席を立つこと」です。
人間の脳には「ワーキングメモリ」という機能があります。 一時的な記憶を覚えておく場所で、いくつかの知的作業を併行して行うときに活躍します。 ワーキングメモリの使い方が上手な人は一度に3つくらいの作業を併行できますが、野菜を茹でながら肉を焼ける要領の良い人でも、横で奥さんが「実はね・・・」と深刻な話を始めたらたまりません。 急激なストレスは一気にワーキングメモリの容量を低下させ、物事を併行して考えるのが面倒臭くなるため作業効率が落ち、最悪のケース

では考えること自体が嫌になり頭が真っ白になってしまうことも。メモリの容量オーバーでパソコンがフリーズした状態と同じようなことが脳で起こるわけです。 適度な緊張感は身が引き締まりますが、「失敗したらどうしよう」という不安や心配が大きいとワーキングメモリが上手に働かなくなり、ここぞというときに実力を発揮できません。 焦って要領が悪くなったら、「ちょっと失礼します」と席を立って仕切り直し。つまり、リセットです。
フリーズしたパソコンが再起動で復活するように、席を立ってその場から離れるとワーキングメモリは一旦復活して、再び冷静になれます。 大事な場面で席を立つのは勇気がいることですが、思考回路がフリーズしてしまったら商談が失敗してしまうかもしれません。 そうなる前に「ちょっと失礼します」で風向きを変え、自分のペースに軌道修正というのもひとつの方法です。


周りを楽しませ自分も楽しむ!

更新日:2012年9月1日

「辛」(つらい)に「一」(いち)を足すと「幸」という字になります。辛くても、あと一歩、もう一歩と前に進もうという気持ちが幸せを呼び込みます。漢字にはもともとの成り立ちや由来がありますが、このように「因数分解」して解釈するとまた違ったメッセージが見えてきます。

コピーライターのひすいこうたろうさんにとって「漢字は感字」だそうで、著書『漢字幸せ読本』ではユニークな視点から独自に解析した漢字の意味を紹介しています。たとえば、「大丈夫」の3文字にはすべて「人」という字が入っています。
あなたに何かあったとき、周りの人はあなたを支えてくれます。どんなときにもあなたには3人の味方がいるのです。または、「幸」を縦に読むと「+−=−+」(プラス・マイナス・イコール・マイナス・プラス)。物事はすべてプラス・マイナスの中立で、あとはその人がどう見るかだけ。それが「幸せ」の本質です。
なかなかうまいことを言うと思いませんか。

さて、「働く」ということを漢字の因数分解で考えてみましょう。
「人」が「動く」と書いて「働」。しかし、やみくもに動けばいいわけではありません。「働く」=「はたらく」=「端」(はた)が「楽」(らく)。つまり、端が楽になるような動きをしたときに「働いた」と言えるようです。
さらには「端」が「楽」しくなるように動いたら、自分も同じように楽しくなります。今の自分の行動は周囲の手助けになっているだろうか。今やっていることで周りが楽しくなるだろうか。このように、常に「端」が「楽」の発想を持って動いていたら、きっと商売は上向いていくことでしょう。 「人間というものは、気分が大事です。気分がくさっていると、立派な知恵才覚を持っている人でも、それを十分に生かせません。しかし気分が非常にいいと、今まで気づかなかったことも考えつき、だんだん活動が増してきます」。これは松下幸之助さんの言葉です。
「周りを楽しませ自分も楽しむ」、いついかなるときでもそんな好循環の商売をしていきたいですね。


「これができます!」は「何でもやります」より強し

更新日:2012年8月1日

「便利屋」という職業が登場したのは十数年前でしょうか。そのネーミングのせいか、「便利屋=急場しのぎ」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、様々な雑事の代行業務を行う便利屋は「サービス業」という立派な専門職でしょう。 雨樋の修理と除草と犬の散歩と買い物代行を、ひとつの会社に頼めるのは利用者にとっての大きなメリットで、だからこそニーズがあるのでしょう。 便利屋のニーズがあるのは「とりあえず何でも引き受ける」からではなく、困ったときに何でも頼める「“便利”の専門職」だからなのです。

商売をしていると、広くお客様を取り込みたいがために「何でもやります」とうたってしまうことがあります。確かに、「これしかできません」より「何でもお任せください!」のほうがお客様に喜ばれるような気がします。 しかし、とりあえず間口を広くしておけば有利だろうという発想では、なかなか上手くはいかないものです。たとえば、原因が分かっている腰痛の治療に、わざわざ総合病院を訪れる人がいるでしょう。
か。原因が分かっているなら、その腰痛の治療に長けた病院を探すはずです。そこで「得意分野は腰痛です」とうたっている治療院があれば、もちろんそこに足を運ぶでしょう。せっかくなら専門のところで診てもらいたい。患者として、ごく当たり前の選択です。

総合病院を訪れる患者は、自分の症状に合った専門病院が見つかればそちらに流れて行きます。 つまり、腰痛も肩こりもむち打ちもリハビリも「何でもござれ」だとしても、あえて「これが得意です」と専門性をアピールすることで、患者に選ばれる確率が一気に上がることはすでにご存知だと思います。 ただ単に「総合病院発想」の商売をしていたなら、一時は盛り上がっても次第にお客様は離れていくことでしょう。 しかし仮に今、「総合病院」の看板を掲げて商売をしていても、「あなたの症状に合った専門病院を見つけます」と提案すれば、それは立派な「専門病院」と同じ立場になるのではないでしょうか。


その効率化は誰のため?

更新日:2012年7月1日

今のようなご時世では、いかに無駄なく効率的な商売をするかが重要なポイントのひとつと言えるでしょう。しかし、「どこを削るか」と「どこにお金をかけるか」の見極めは経営センスが問われる大事なところです。
ここはひとつ、節約上手な主婦の発想を参考にしたいものです。家庭の主婦であれば、「どんな状況でもまず守るべきは家族」だとしっかり認識しています。
家族を守る基本は健康管理です。どんなに食費を切り詰めても、その範囲内で可能な栄養バランスを考え、たとえ「もやし料理」でもバリエーションに知恵を絞ります。
今はディズニーランドに行けなくても、健康であればいずれ家族全員でミッキーマウスと記念写真を撮れるでしょう。その日のために家族の健康を守るべく、主婦たちは今日もチラシをくまなくチェックして、底値を求めて自転車を走らせるのです。
「お母さんは家族のために頑張ってくれている」。そう感じるからこそ、もやし料理が3日続いても家族は文句

を言いません。けれど、節約したお金で自分だけこっそり3000円のランチを食べているとなれば、家族の絆は一気に崩壊するでしょう。
主婦で実業家のある女性は、いわゆる「主婦のアイデア商品」がヒットしたことで会社を立ち上げたそうです。今では年商も億を超えるようなので、さぞかしオフィスは立派だろうと思いきや、雑居ビルの一角に内装も質素な事務所を構えているだけだとか。

その理由は、「お客様に提供するサービスと関係ないものにはお金を使いません。会社の内装にお金をかけるとサービスの値段を高くしなくてはならないですし、値段を高くすると今度は宣伝広告をしたりと余分な仕事が増えるんです」とのこと。
つまりこの女性実業家にとっての効率化とは、お客様のためにならない出費は一切しないことなのです。このポリシーが効率化の最大の柱だそうです。

何のための効率化なのか、その目的がブレてしまうとお客様は敏感に反応します。だからこそ、「会社の帳簿」ではなく「お客様の喜ぶ顔」が思い浮かぶような商売の効率化を進める会社は、どんな時代でもお客様から支持されるのでしょうね。


商売の「100」引く「1」は・・・

更新日:2012年6月1日

そのお鮨屋さんの繊細な仕事ぶりは、海外の食通さえもうならせると評判でした。うわさを聞きつけたKさんは友人と足を運び、至福の2時間を過ごしたそうです。味の良さはもちろん、にぎりの一つひとつに施された丁寧な仕事はまるで芸術品のようで、普通なら目玉が飛び出るほどのお会計も「これだけ払う価値は十分にあるとお客に思わせるのは大したものだ」と、大満足で店を出たそうです。

ところがその半年後、再びその店を訪ねたKさんは非常にがっかりしたそうです。
「人が代わったな」。そう思ったKさんはさりげなく板前に訊いてみると、案の定、前の大将は辞めてしまったのだとか。ただ闇雲にコスト削減を進めるオーナーに大将が嫌気をさしたのだろうというのがKさんの推測です。
その日が初めてのお客様なら「立派な店だ」と感心するレベルでも、以前を知っているお客様は騙せません。海外からのお客様を「和」の心で感動させたいというコンセプトでしつらえた店内も、ネタや味の手抜きを感じた途端に薄っぺらく感じてしまったそうです。「この店にはもう来ないだろう」とKさんが思ったのは間違いないでしょう。
この一件でKさんは、「100引く1はゼロ」という商売の基本を改めて実感したそうです。
商売というのは「100引く1が99」にはなりません。100人の社員が頑張っても、たった1人が気を抜けば、それまで築いた信用が泡のように消えてしまいます。
昨日まで100点でも、ひとつの手抜きで全体の点数が一気に下がってしまうのです。

商売は常に「100%」しかありません。ひとつでも欠けたらゼロになってしまいます。
お客様は手抜きに敏感で、口に出さなくてもしっかり見抜いているもの。だから「100引く1はゼロ」なのです。裏を返せば、お客様のためにできることを全力で考え、100%の誠意と努力で商売に勤しめば、お客様はちゃんと感じ取ってくれます。そして、きっとそのお客様が新しいお客様を連れてきてくれることでしょう。


「一人成功反省会」のススメ

更新日:2012年5月1日

いきなりですが、「今日、あなたは仕事で失敗をしました」。こんな夜は寝る前に何を考えますか?
(1)仕事がうまくいっていた時期のこと (2)失敗した原因など (3)仕事とは関係のないこと

イスラエルのある心理学者が、兵士を対象に「地図なしで目的地を目指す」という訓練を行わせたそうです。その際、兵士たちをAとBの2グループに分けました。
Aは、訓練に失敗したときだけ上官とのミーティングを行うグループ。「なぜあのときミスを犯したのか?」「もっと早く対応すべきだった」など、要するに失敗の反省会を行わせたのです。
一方のBは、失敗したときも成功したときも上官とのミーティングを行うグループ。
失敗の反省会に加え、「あの素早い対応は良かった」「今回は現状把握が的確だった」といったように、成功した理由などを兵士自身に分析させました。
それからしばらくしてAとBの訓練成績を比較してみると、明らかな差が出たそうです。訓練の成績が上がったのはB。Bの上達速度はAに比べて格段に早かったようです。すなわち、パフォーマンスを上げるには成功したときほど良い意味での「反省会」を行ったほうがいいというわけです。
失敗してもどこ吹く風でいられるのは別の意味で大したものですが、ほとんどの人は寝る前にクヨクヨと「一人失敗反省会」をするでしょう。それはいいとして、うまくいったことや良かったことも同じように「どうして

だろう?」と考える習慣が商売のパフォーマンス向上につながっていきます。
うまくいったことにも必ず理由や秘訣があるはずで、それこそが今後の成功につながる最大のヒントです。
うまくいったときほど「一人成功反省会」。良いことが何もなかった日は、過去にうまくいったことを思い出して「一人成功反省会」。やってみると意外と大変です。毎晩続けるのはもっと大変です。けれどその効果は絶大なのです。


ある若者に学ぶ「真のホスピタリティ」

更新日:2012年4月4日

「顧客第一主義」をうたう企業は数多く、「ホスピタリティ(おもてなしの心)」という言葉も商売の常套句になりました。 しかし、当たり前になってくると本質を見失うのが人間です。大事なのは耳あたりの良い言葉を掲げることではなく実際の行動です。 30歳の若者が改めてそれを教えてくれました。

世界最高峰のエベレストに「単独」「無酸素」で挑む栗城史多(くりきのぶかず)さんを一躍有名にしたのは、登山の様子を自らビデオカメラで撮影してリアルタイムで動画配信する「自分撮り」というスタイル。 普通なら1グラムでも荷物を軽くしようとする登山で、わざわざ重い機材を抱えて自分撮りしながら世界6大陸の最高峰を踏破してきたのは、「夢や冒険の共有」を目指しているからだそうです。 エベレスト挑戦の費用は7200万円。山を下りた彼には「資金集め」という、これまた「高い山」が待っています。起業家としてスポンサー獲得に奔走する一方で、各地を回っての講演活動。 その講演に参加した60代のある社長が、「栗城史多という若者から真のホスピタリティを

学んだ」としきりに感心していました。
講演会後のサイン会で彼は立ったまま1人ひとりを迎え、チケットの半券でもレシートでも携帯電話の電池でも背中でも、差し出されたものすべてに快くサインをしたそうです。 その日、サイン会の列に並んだ人はおよそ300人。 そのほとんどが栗城さんに自分自身の夢を語ると、彼はすべての人の話に熱心に耳を傾け、「一緒に夢を叶えましょう」と激励し、会場がタイムリミットになってしまったあとは、寒い中、外に出てまでサインを続けたそうです。 来てくれた人を精一杯もてなしたい。夢や冒険の共有を目指す彼にとって、それはごく自然な行動なのだと思います。 どんなに素晴らしいことでも、言葉を並べるだけなら単なる「標語」で終わってしまいます。掲げた「顧客第一主義」「ホスピタリティ」をただの標語に変えてしまわないよう に、私たちもよりいっそう魂を込めて商売に励んでいきたいですね。


「たまたま」を「必然」にするのは今日からの一歩

更新日:2012年3月1日

昨年の7月にタイを襲った大洪水は多くの企業に甚大な被害をもたらしました。今でも先の目途がつかない会社があります。 そんな中、洪水の被害を最小限に抑えて、すぐに操業を再開できた会社があるという話を聞きました。 その会社は精密機械の工場だったそうですが、当時、社長は次のような行動をとったそうです。 社長がタイの工場からの電話で洪水の第一報を受けたのは、洪水の勢いが未知数で、これから

どうなるか何もわからないごく初期段階のときだったそうです。 けれど社長は直感します。工場が浸水するのは時間の問題だろう。そうなったら機械は全滅してしばらく工場が停まってしまう。 社長は自分の直感を信じて電話口で次の2つの指示を出しました。 すぐに仮の場所を押さえて工場を移転させること。機械を発注すること。そしてその足で、自分はタイに飛んだそうです。 タイに着くとすぐに保険会社と連絡を取り、工場の様子を見に来てもらう段取りをしました。工場の周辺は水浸しで船がなければ近づけません。 社長は自腹で船をチャーターして保険会社の担当者を乗せ、工場に向かいました。身銭を切ってまで船を出したのは「最悪の状態」を保険会社に見てもらうため。 水が引いてからでは十分な査定をしてもらえない可能性があります。船代を惜しんではいけないという判断でした。

周囲の工場が操業停止で対策に追われる頃、すでに新しい機械を発注しておいた社長の工場は、別の場所ですぐに仕事を再開できたそうです。 社長は「今回の被害を最小限に抑えることが出来たのは、私の直感が運良く当たったこともありますが、小回りがきく会社の規模であったこと。 そして、そのときにたまたま資金に多少の余裕があったからですよ」と謙遜しながら語ったそうですす。 会社経営においても、より深刻な不況という洪水が押しせよせてくる前に、行動を起こさなくてはいけません。 「たまたま」ではなく「確実に」回避するためにも、小回りがきかないのであればなおさら早いうちに、そして少しでもも資金に余力があるときに。 そんなことを改めて考えさせられた出来事ではなかったしょうか。


「それ」がものを言う

更新日:2012年2月1日

いきなりですが質問です。
「1億円・良い評判・権力」この中でいちばん「ものを言う」のはどれでしょう。

ある大学で、学生たちに一人の教授の力量を評価してもらう実験が行われました。
学生を2つのグループに分け、Aグループには教授の授業風景を2秒見ただけで評価してもらい、Bグループは1学期の間ずっと教授の授業を受け、それから評価してもらいました。果たしてその結果は、グループAとBで評価がほとんど変わらなかったそうです。状況や人物を瞬時に判断した場合も、半年以上の時間をかけて判断した場合も、そのもの自体への評価はほとんど変わらないとしたら、評価の正確さは時間に比例しないことになります。
もう1つ、カリフォルニア工科大学での実験です。手の込んだ方法で同じワインを異なる値段で飲ませたところ、被験者は「高い方が美味しい」と判断したそうです。しかもその際、脳の価値判断にかかわる眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)という部分がより活性化する傾向にあったのだとか。これはワインに限った話ではないでしょう。高いから美味しい。高いから効果がある。高いから優越感に浸る。 なんとも単純な発想ですが、良いラベルが貼ってあれば良く見えるし、ラベルが

お粗末なら中身もお粗末に思われるという実によくある話です。また、一度下された評価は時間が経ってもほぼそのままで、しかもその評価は「中身」より「ラベル」の方がものを言うのです。
この指摘は商売においてかなり重要なことです。要するに、「できるだけ良い評価をもらえるようなラベルを自分自身に貼っておきましょう」ということで、裏を返せば、多くの人は悲しいかなその程度の評価力しか持ち合わせていないともいえます。だからこそブランディングは大事で、ブランド商売は強固なのでしょう。お金より権力より良い評判。商売の成功を願うなら、くれぐれも評判を落としてはなりませんね。


「商売の量質転化」は、101段目にお訪れる!

更新日:2012年1月6日

発明王のエジソンは、「私が成功した秘訣はたった一つしかない。それは、成功するまでやり続けたからである」と言ったそうです。松下幸之助も似たような名言を遺しています。
今はできないことも、できるまでやればできるようになります。しかし、やり続けて成功する人はほんの一握りです。

多くの人が途中で挫折していくのは「努力」と「成果」の相関関係を誤解しているからではないでしょうか。
努力した分だけ成果が出るのは確かでも、努力と成果は正比例しません。新しいことを始めたとき、スタートからしばらくはなかなか成果が出ないのが普通です。
この「なかなか成果が出ない期間」は想像以上に長く、ところがある段階を超えると急激に成果が現れて、その後は少しの努力で一気に成果が上がっていくというのが脳のシステムだそうです。
これを「量質転化」と言いますが、このシステムを知らない人は「こんなに努力しているのにちっとも成果が出ない」と嘆いて、成果が出るのを待てずにやめてしまうのです。
パフォーマンスは基本的に努力量と比例しないものです。
ですから「使えない」段階のほうがはるかに長いわけで、量質転化が起こって無意識にできるようになったとき、はじめて「使える」段階になることをちゃんと覚えておきたいものです。
口では「変わりたい」「成長したい」と言いながらも、実は自分の考えや経験にしがみついていることが多々あります。だからこそ「自分」にこだわってしまうのではないでしょうか。
商売をしていれば「なかなか成果が出ない期間」もあります。

そこを乗り越えるには根性論よりも「スモールステップ」という工夫の方が実践的でしょう。 確実な一歩を刻んでいくこと。これがスモールステップであり、その第一歩は「今できることをする」です。先を急ぐあまり2段飛ばしで一気に階段を駆け上がってみても、20段目あたりで足腰にガタがきてへたりこんでしまっては本末転倒というものです。
上手くいかない時期はじっと我慢して、スモールステップで目先の小さな目標をこなし、「できること」を増やしながら100段の階段を確実に上ったとき、101段目で「商売の量質転化」が訪れるのです。


「こだわり」に「傲慢」が潜みはじめていませんか?

更新日:2011年12月1日

子どもの頃、「台風一過」を「台風一家」だと思い込み「世の中には台風のようなハチャメチャな家族がいるものだ」と信じて疑わなかったという笑い話を友人から聞いたことがあります。また、美しい人は光り輝くものだから、「美人薄幸」を「美人発光」と勘違いしていた人もいました。人には、何かと自分の知っていることに当てはめようとする傾向がありますが、これは「自分の経験こそ正しい」という勘違いなのかもしれません。

「自分にこだわる人ほどファンがつかない」。これは、ある有名芸能人の言葉です。
「こだわり」という言葉の中には「信念」を感じさせる一方で、「傲慢」や「頑固」という意味合いが潜んでいる場合もあります。
口では「変わりたい」「成長したい」と言いながらも、実は自分の考えや経験にしがみついていることが多々あります。だからこそ「自分」にこだわってしまうのではないでしょうか。
「自分」にこだわる人は、自分が変わらずに人や周囲を変えようとする頑固者なのかもしれません。「こだわり」という響きのいい言葉をまとっても、その傲慢さは人に見抜かれてしまいます。傲慢な商売で成功したという話は聞いたことがありません。一時は稼いだとしても、つかの間のあぶく銭で終わってしまいます。

商売が上手くいっている人は「信念」こそ大事にしても、下手なこだわり方はしません。まず、人を大事にして変化を恐れずに自分を高めようとします。「どこまで自分を変えていけるか」、それは商売におけるひとつのチャレンジだからです。
長年やってきた商売の経験は、自分だけのデータベースとして大いに活用するべきです。しかし、それだけが正しいわけではありません。自分にこだわるあまり、顧客という大切なファンを逃したくはありませんね。
一年の締めくくりとして、作家で精神科医だった斎藤茂太さんの言葉を胸に刻んでおきたいと思います。
「“自分のない人”ほど、自分を主張する」
「他人に花をもたせよう。自分に花の香りが残る」


「美味しい鍋」は社長のさじ加減ひとつ

更新日:2011年11月1日

鍋の美味しい季節になりました。鍋と聞いて俄然張り切るのが「鍋奉行」です。食材、ダシの取り方、具を入れる順番や味付け、火加減、食べるタイミングまで世話を焼き、すべてにひと言モノ申さないと気がすまない性質(タチ)の人を誰が「鍋奉行」と名付けたのか知りませんが、言い得て妙なネーミングです。

「確かにいるな〜。そういう人!」と笑っているあなた、鍋のない所で鍋奉行になっていませんか。 口では「任せたぞ」と言いながら、結局は1から10まで指示してしまう。社員の仕事に口を出しすぎる社長は、潜在的な鍋奉行かもしれません。 経験が浅いから心配で任せてはおけない。何かあったら困るからいちいち目を光らせる。それはその通りだとして、考えてみたいのは「口の出し方」です。 人間の脳は不思議なもので、手をかけすぎるとスキルはアップしても意欲は低下するようにできているそうです。社員を事細かくチェックして世話を焼けば「美味しい鍋」になると思いきや、仕事の場合そうはいかないのです。まずは任せてみる。その一方で仕事を進めながらやり方を教えていくというさじ加減。仕切りたがりの鍋奉行にはストレスかもしれませんが、人を育てるとはそういうことでしょう。 この夏、あるお祭りで、みこしの音頭をとる人を見て外国人が「ナベブギョウ!」と叫びました。その外国人は、「先頭に立ってみんなを仕切っている人=鍋奉行」だと思ったのでしょう。鍋奉行も世界的になったものです。 みこしの音頭をとるのは社長ですが、鍋奉行になってはいけません。

フランスの詩人アラゴンはこう言っています。「教えるとは希望を語ること。学ぶとは誠実を胸に刻むこと」。 社員の仕事に口を出す回数を減らし、その分、熱く希望を語ってみませんか。社員に明日をイメージさせるのは社長の大事な仕事です。 希望のもとに明日をイメージできる社員が増えれば、いずれ「美味しい鍋」ができることでしょう。


社長にしかできない仕事

更新日:2011年10月1日

ひと昔前なら「理想の社長」として、松下幸之助や本田宗一郎といった日本を牽引してきたビジネスパーソンの名前があがったでしょうが、今どきはカリスマ性のある芸能人、偉業を成し遂げたスポーツ選手、一世を風靡した「時の人」、歴史上の有名人物などが上位に名を連ねます。 2005年に東京商工会議所が新入社員に聞いた「理想の社長」アンケートでも、1位の堀江貴文(ホリエモン)以下、星野仙一、北野武、イチロー、坂本龍馬と、まさに時の人、一流のスポーツ選手、有名芸能人、歴史上の人物が見事に並びました。 この手のアンケートで注目すべきは、「誰」が選ばれたかより、なぜその人を選んだかの「理由」でしょう。 堀江貴文/新しいことへの挑戦や行動力がある。先見性・創造力がある。 星野仙一/強力なリーダーシップや統率力がある。人を引きつける魅力がある。

北野武/ユニークな発想・独創性がある。才能とリーダーシップがある。
イチロー/努力家で向上心を持っている。有言実行。信念を持っている。
坂本龍馬/行動力やリーダーシップを持つ。先見性・独創性を持っている。
理由に共通するキーワードは、「挑戦」「行動力」「先見性」「リーダーシップ」「独創性」「想像力」。つまり、強力なリーダーシップを発揮しながら常に先を読んで行動するチャレンジ精神を持った人を「理想の社長」と考えている人が多いということです。 「社長の仕事とは?」の問いには、「判断と決定」「理念を語る」「戦略の立案」など様々な意見があるでしょうが、「社長にしかできないこと」こそ社長の仕事です。 なでしこジャパンの澤穂希

選手は「苦しかったら私の背中を見なさい」と後輩に檄を飛ばして、どんなに苦しい場面でも自ら先頭で戦っています。 その澤選手は、自分が考える「理想のサッカー選手像」の背中を見ながら走ってきたのでしょう。 社長には、社長にしかできない仕事をする責任があります。今こそ、自分なりの「理想の社長像」を追いかけて行く背中を社員に見せていこうではありませんか。


「当たり前」をあらためて考える今こそ問いたい商売の品格

更新日:2011年9月1日

「ゆとり、ゆとり」と騒いだ後、今度は「個性、個性」と追い立てるような教育に今の子どもは大変だなぁと同情を覚えます。「ゆとりか個性か」という話ではなく、物事はすべてバランスの問題です。そんな当たり前のことにも気づかなくなっているのが今の世の中だとしたら、我々もうっかりはしていられません。何に対しても一般的なことしか考えられないような思考回路に陥っていないか今一度、振り返ってみましょう。 近所にできた

新しいコンビニを見て、「またコンビニか。最近このへんにやたらコンビニができるけど商売のつぶし合いじゃないのか」と疑問を抱く人、「新しいコンビニだ。ラッキー」と単純に喜ぶ人、もしくはまったく無関心な人、同じものを見ても反応は様々です。どれが正解ということではなく、疑問がないというのは思考回路がマンネリ化している証拠でしょう。 トヨタでは、異常に気づいたら「なぜ」を5回繰り返すことを徹底しているそうです。これが有名なトヨタの「なぜなぜ5回」。「なぜ」を5回繰り返すと本当の原因にたどり着き、問題点が浮き彫りになるからだそうです。「なぜなぜ5回」のプロセスによって社員は自分で考える力を身につけ、現場力が強化されていくのでしょう。 ニュートンは「なぜ」を繰り返して引力を発見しました。韓国のサムスンは、トヨタより2回多い7回の「なぜ」で世界有数の大企業にのし上がったという話もあります。 幼い子どもはしつこいほどに「なぜ」を連発して大人を

うんざりさせますが、そうやって未知なるものと出会いながら成長していくのです。 当たり前だと思っていることを、今あらためて問い直してみましょう。なぜそのサービスを提供するのか。なぜ顧客との信頼関係が大事なのか。なぜこの商売を始めたのか。そして、なぜ続けていくのか・・・。 商売においての「当たり前」など存在しないと気づいたとき、必勝のブレークスルーが起こるのでしょう。


今こそ問いたい商売の品格

更新日:2011年8月1日

長野県の諏訪湖はそのむかし、子どもたちが泳いで遊ぶほどきれいな湖だったそうです。 それが経済成長期に水質汚染が進み、一時期は「日本一汚い湖」と言われたこともありました。 今ではずいぶん浄化活動が進んでいるようですが、諏訪湖がまだ「汚い湖」だった頃、 毎朝、ゴミ袋を片手に湖畔のゴミ拾いをする一人

の男性がいたそうです。「諏訪湖で泳ぐ子どもたちの姿をもう一度見たい」、Tさんのそんな願いから始まった、 たった一人の諏訪湖清掃は次第に人の知るところとなり、地域の人たちも朝のゴミ拾いに参加するようになったそうです。 そんなある夏の朝、湖畔に大量の花火カスが落ちていました。「誰だよ、せっかくきれいになってきたのに」。 ゴミ拾いに参加していた人は、その光景にガッカリして腹を立てました。ところがTさんは、目を輝かせながらこう言ったそうです。 「いやぁ、嬉しいな。やっとみんなが諏訪湖で遊んでくれるようになったよ」。 Tさんの言葉に、その場にいた全員が「この人にはかなわない」と襟を正したそうです。 Tさんは精密機械の商売をしています。商売のやり方も諏訪湖清掃と同じです。仕事の依頼主には、 「おたくから○○円でいただく仕事を下請けには△△円で出し、その差額で従業員を養っています。 ですからこれ以上値下げされると従業員に給料を払えません」。 下請けさんには、「入りの金額は○○円。だからおたくには△△円で出します」。 すべての金額を包み隠さず提示するTさんに対して依頼主も下請けさんも「この人にはかなわない」とやはり襟を正すのだそう

です。従業員が普通に暮らせるだけの商売ができればそれでよし。それ以上の欲を求めると商売が長続きしない。 Tさんを商売人として、人として慕う人はとても多く、「Tさんがそう言うなら」とあっさり話がまとまることも少なくありません。 一時期ブームになった「○○の品格」という言葉を、今こそ自分の商売に当てはめて考え直してみたいものです。 業種や業態が違っていても、世のため人のために商売をしている人 には、どうしたってかないません。


そこに意味はあるのか?

更新日:2011年7月1日

「やる気が失せる瞬間」というものがあります。 時間があればジグソーパズルをやっていたAさんはある日、友人に「それって何の意味があるの?」と訊かれ、その瞬間「もうやめよう」と思ったそうです。 自分はジグソーパズルが好きなわけではなく単なる暇つぶしだった。 それに気づいてしまったら途端に虚しくなってしまったのです。 今やっていることの目的が見えなくなったとき、人はやる気を失います。
大昔のローマには、穴を掘っては埋め、埋めてはまた掘ることを延々と続けさせる 刑罰があったそうです。肉体的な苦痛を与えることだけが目的ではありません。 人は無意味なことを繰り返しさせられることに耐え

られないからです。 穴掘り刑罰の目的はむしろ精神的な苦痛を与えることにあり、実際に気が狂ってしまった囚人もいたようです。 この刑罰は、目的のない行為がいかに虚しいかを象徴しています。
もしも穴掘りに「井戸を作れ」という大義名分があったら、実際の行為はともかく囚人にとっては救いだったかもしれません。 しかし、それでは刑罰になりません。
では、「これは体を鍛えるためのエクササイズなんだ」と自分に言い聞かせてみたらどうだったでしょう。 刑期を終えて外に出たとき、体が鈍っていては話にならない。 穴掘り刑罰を利用して今から体を鍛えておこう。 そんなふうに考えれば、その瞬間から穴掘りの意味はまったく変わってくるはずです。 また、目的を見つけたことで取り組む姿勢も変わってくるでしょう。

冒頭のAさんも最初から「暇つぶし」を目的にジグソーパズルをしていたら、「何の意味があるの?」という問いかけに動揺することはなかったのです。 「意味がない」のではなく「意味を見いだせなかった」自分にやる気を失ったのでしょう。
目的や意味はあらかじめ用意されているものではありません。 他人が与えてくれるものでもありません。
商売が大変なときは「こんなことをして意味があるのか」と思いがちですが、目的や意味は自分で見いだすものです。
今やっていることの意味を見いだせたとき、必ずそこには大きな価値が生まれます。


揺るがない商売のために「コツコツ」の達人

更新日:2011年6月1日

ちょっと意識を傾けると気づくものですが、世の中には、いろいろな場面で「三つの“あ”」があるようです。
ある小学校の先生が授業の中で生徒たちに教えているのは「あいさつ、あんぜん、あとかたづけ」。ほかの小学校では「ありがとう、あいさつ、あたたかいこころ」
恩師からの大事な言葉だという「あらそわない、あなどらない、あせらない」
成功本のメッセージを要約すると「ありのまま、あせらない、あたえ続ける」

脇道に逸れますが、ダイエットの大敵は「あぶら、アルコール、あまいもの」
そして、いつの世も心に残る名言として、多くの人たちが胸に刻んでいる言葉は「あせらず、あわてず、あきらめず」です。
やってもやっても思うような結果が出ないときは、気持ちばかりが焦ります。焦って心に余裕がなくなると優先順位を誤るので、「今」やるべきことを見落として「目先」のことばかり気になります。目の前のことに取り組むのが悪いわけではありません。目先の事態に翻弄されて自分のペースが乱れることがまずいのです。
何のためにやっているのかが見えなくなると人は混乱します。頭がぐちゃぐちゃになって集中力がなくなり、やる気がわいてきません。だから諦めてしまいます。
「あせらず、あわてず、あきらめず」は商売にも通じる「三つの“あ”」でしょう。

仕事がはかどらないときも焦る気持ちを抑えて落ち着き、たとえ問題が山積みでも慌てることなく今やるべきことに少しずつ取り組み、決して諦めないこと。もっと言えば、どんなときも「あせらず、あわてず、あきらめず」の精神で日々コツコツ
続ける商売は揺るぎません。
日々のコツコツは大変地味ですが底力があるからです。
もし商売の達人がいるとすれば、それは「コツコツ」の達人でしょう。どんなに大変な状況でもコツコツと頑張っている人は大勢います。「あせらず、あわてず、あきらめず」は希望につながる「三つの“あ”」でもあります。今一度、コツコツの達人を目指して「あせらず、あわてず、あきらめず」精神でいきましょう。


「円」より「縁」を大事にする

更新日:2011年5月1日

利益が利益を生んでいく商売は理想です。 ただしそれは、それなりの前振りがあってのこと。 要するに「種まき」というプロセスです。 あなたの持っている情報や人脈が顧客の役に立つなら喜んで差し出しましょう。 お金にならなくても、多少の手間がかかっても、顧客にあなたを利用してもらうのです。

とある場所で事務用品販売会社を営むAさん。 その肩書きは自称「つなぎ屋」だそうです。 人付き合いの

良いAさんは、いろいろな宴席に顔を出すうちに知り合いがどんどん増えていったそうです。 普通なら広がった人脈を自分の商売にいかす知恵を巡らせます。 Aさんも最初はそうだったようです。 しかし思うようにいきません。
ある日、知り合いから「鉄道模型に詳しい人を知らないか」と持ちかけられました。 宴会で知り合った仲間の中に鉄道マニアがいたことを思い出したAさんは、2人を引き合わせるために一席設けます。 そんなことが何度か続くと、自然に「あの人とあの人を引き合わせたら双方にメリットがありそうだ」と考えるようになり、さりげなく人をつなぐようになったそうです。 するとAさんの人脈が勝手に動き出し、あちこちで「Aさんのおかげ」というつながりが生まれました。
「つなぎ屋」はとても感謝されます。 良い出会いが商売のチャンスを運んでくることを、そして本当

に良い出会いはそうそうないことを、誰もが体験的に知っているからです。 つないだ同士が「いい人を紹介してくれてありがとう」となれば、Aさんと彼らの結びつきも強くなります。 そして彼らは後々、必ずAさんに何らかの利益をもたらしてくれたそうです。 人に助けてもらったら「自分も相手の役に立ちたい」と思うのは、いたってまっとうな感覚でしょう。 Aさん曰く、「商売目線で人を見ていたときは、目が“¥(円)”マークだった。 けれども今は“縁”マーク」だそうです。人は人を呼び寄せます。 人から始まる商売はお金から始まるそれよりも息が長く、秘められた可能性も大きいもの。 「縁」から生まれた「円」がさらなる「円」を生む。まさに理想的な商売ですね。


真面目・不真面目・非真面目の大きな違い

更新日:2011年4月1日

真面目な人がバカを見て、不真面目な人が上手いこと世の中を渡っていく。そんな場面に遭遇すると本当にがっかりしてやる気が失せるものです。 商売をやっていれば「まっとう」なことだけがまかり通らないのは百も承知。 しかし、ズルをしたり手を抜いたりすれば必ずどこかでツケが回ってきます。

「もっと要領よくなりたい」。真面目な社長は自分の不器用さを恨めしく思うかもしれませんが、人の本質は

そうそう簡単には変わりません。
けれども考え方を変えることはできます。これからは「非真面目」な考え方をしてみませんか。
問題が起こったとき、人は往々にして自分の経験にあてはめながら解決策を見つけようとします。それは決して間違った発想ではありませんが、真面目な人の場合、自分の経験にとらわれすぎて新しい見方ができないことがあるようです。
特にありがちなパターンは、最初に問題の原因を探ってしまうこと。原因を取り除かないと前に進まないと考えるのは真面目な人の最たる特徴です。たとえ原因が見つかったとしても、それがどうにもならないことだったらどうでしょう。そこで行き詰って「もうお手上げ」と途方に暮れるしかありません。
原因を探しても問題解決に至らないこともあるのです。
一方、過去の経験や物事の枠にとらわれず、まったく異なった新しい角度からアイデアを生み出せる人もいます。これが「非真面目」です。真面目な人の考え方が「平面」なら、非真面目な人は「立体的」に物事を見ます。
柔軟な発想が問題解決の糸口になるのは体験的によくご存知のことでしょう。

真面目な人は「なぜ上手くいかないんだ?」と頭を抱えます。
一方の非真面目な人は「どうしたら上手くいくのか?」と試行錯誤を繰り返します。
素直に一生懸命やるだけでは上手くいかないのが商売です。 もっと非真面目になって脳みそにたくさん汗をかきましょう。もちろん、「どうしたら何もせず楽して稼げるのか?」という不真面目は論外ですね。


ウサギが負けたその理由

更新日:2011年3月1日

兎年の今年は、「ウサギのようにぴょんぴょん跳ねて」のたとえをよく耳にします。元気よく飛び跳ねる のはいいけれど、『ウサギとカメ』のお話では競争の途中で居眠りをしたウサギがカメに負けるという結末でした。

「どうしてウサギはカメに負けたと思いますか?」五十代のある男性経営者が、たまたま同席していた二人に訊いたそうです。
「ウサギの怠慢だと思います」と答えたのはパート勤務の四十代主婦。
「カメはコツコツ努力したから」と答えたのは飲食店を経営する三十代の男性。
質問をした男性経営者の解釈は、二人とはまったく違うものだったようです。
「私はね、カメの目的が“ゴール”だったからだと思うんです」。
ウサギの目的は「カメ」だった。カメを追い抜かすことがウサギの目的だったからウサギはカメを見ていた。
だが一方のカメは、最初からゴールすることしか考えていなかった。だからカメの目的は「ウサギ」じゃなくて「ゴール」だった。
たまたまウサギに勝ったけれど、カメはただひたすらにゴールを目指していただけでウサギのことは見ていない。ウサギはカメに負けて、カメは自分に勝った。
横を見て競争していたウサギと、常に目的意識を持って前を見ていたカメの差だと思うんですよ・・・。

『ウサギとカメ』はよくたとえ話に使われます。いくらウサギが俊足でも途中で努力を怠れば鈍足のカメに追い抜かれる。鈍足のカメでも努力を続ければ俊足のウサギに勝てる。 これが一般的なたとえ話でしょう。物語の解釈に正解はありません。とはいえ、解釈にはその人の人生観のようなものが投影されます。 「ウサギの怠慢」と答えた女性は「カメの目的はゴールだった」という解釈を聞き、今の自分は現状維持のための努力はしていても前を向いていないと思ったそうです。 商売の目的が明確であれば、ウサギのようにぴょんぴょん跳ねてもカメのようにゆっくりじっくり進んでも、いずれはちゃんとゴールに到着します。 しっかりと前を見て行きたいものですね。


社員が自慢したくなる会社

更新日:2011年2月1日

「今までもらったすごいプレゼントは、島、クルーザー、ビル、あとは油田」こんな話をさらっとしても許されるのはハリウッドのセレブくらいです。自慢話をする人は基本的に嫌われます。
しかし例外もあります。
昨年の11月に創立70周年を迎えたその会社は、50人の社員全員にある記念品を渡しました。

あなたが社長ならどんな記念品にするでしょうか(ちなみに会社はちょっと儲かっています)。ネットで「創立記念品」を検索すると、会社のロゴや「創立○周年」の文字が入った腕時計や置き時計、万年筆、クリスタルの盾など、どちらかと言えば会社側の満足を形にした品々がずらりとヒットしました。
さて、問題の会社が記念品に選んだのは、ドンペリ(ドン・ペリニヨン)でした。社員50人に1本ずつ記念品としてドンペリを配り、社長は言ったそうです。
「これからクリスマスがあります。ちょっとした記念日でもかまいません。大事な人とこのドンペリで乾杯してください」。 高級なお酒はいくらでもありますが、あえて通俗的なドンペリという選択に社長の粋を感じます。お酒を飲まない人でもドンペリが高いことは知っているでしょう。お酒好きでもサラリーマンは日常的にドンペリなど飲みません。誰でも知っているけれど自分では買わない高級品。しかも飲んだら終わりです。

記念品を見た社員たちは、「スゲー、あのドンペリだよ」とどよめいたそうです。
社長は最後に、「これを飲むとき、ちょっとだけわたしのことを思い出してくれると嬉しいです」と、あいさつを締めくくりました。
天才的なセンスです。
その会社の社員が自慢げにこの話をしてくれたそうです。「うちっていい会社だと思わない?」。その場にいた人たちは口々に「俺もそこで働いてみたい!」と心底うらやんだそうです。社長は、ドンペリと一緒に自分の会社を誇りに思う気持ちを贈ったのだと思います。
ドンペリ50本でいくらだったのかは知りませんが、その金額以上のものを社員は返してくれるでしょう。


商売の「カキクケコ」

更新日:2011年1月1日

昨年チリで起きた鉱山事故のてん末には何かと考えさせられました。役割分担の重要性。リーダーたる資質。極限状態の人間心理。礼拝による心の平静。さらに、奇跡的な大救出劇のあとから漏れ伝わるこぼれ話は、人間がいかに「欲」の支配下にあるかを物語っていました。

少ない物資を分け合っていたときは団結していたのに、地上と交流できるようになって食料などに困らなくなると、テレビ電話の利用時間やテレビのチャンネル争いなど、生存と関係ないところでケンカが絶えなくなったそうです。事故を追ったドキュメンタリー番組で、ある作業員が「救援物資が届くようになってから 人々の心に欲が生まれた」と話していました。
事故当初は「とにかく全員で無事に脱出」が作業員の一致した願望だったに違いありません。ところが、生存の危機という局面に希望が見え始め、閉じ込められた状態に慣れてきたことで、個人的な欲が顔を出し始めたのではないかと想像します。余裕と慣れは欲を生むのでしょう。
帝国データバンクが創業100年以上の老舗企業4000社を対象にしたアンケートによると、「家訓・社是・社訓」があると答えた企業が77.6%にのぼったそうです。その共通点を分析したところ5つのキーワードが浮かび上がり、見事に「カキクケコ」になっていました。

「カ=感謝、キ=勤勉、ク=工夫、ケ=倹約、コ=貢献」
帝国データバンクでは、この「カキクケコ」を「会社が100年続く条件」としていました。
100年の間にはそれなりの浮き沈みがあったでしょうが、業績が良くても悪くても「カキクケコ」を忘れない。「会社のカキクケコ」は、余裕と慣れへの戒めであり、 つまりは「欲」に対する警鐘ともとれます。個人的な欲が商売の方向性を狂わせていないでしょうか。新年を迎えて身が引きしまる今の時期は、5つのキーワードから自らの商売を考えてみる絶好の機会ではないでしょうか。


脆い(もろい)「GNP商売」

更新日:2010年12月1日

義理と人情の狭間で悩むのは、任侠映画の世界だけではありません。経営者も事あるごとに義理を立てるか人情を重んじるかと悩み、選択を迫られ、時に判断ミスで自分の首を絞めたりします。

商売で義理を欠けば致命的。片や人情は、自分の力量範囲なら事は丸く収まっても、力量を超えた人情はだれのためにもなりません。また、義理と人情だけでもやっかいというのに、さらに「袖の下」まで持ち出す人もいます。ある業界ではこれを「GNP」と呼ぶそうです。
Gは義理。Nは人情。Pはプレゼント。
いわゆる「できない営業マンの奥の手」です。
そのような営業マンがお客様に勧めるのは、相手に必要な商品ではなく、自分に都合の良い商品です。だからといって作為があるわけでもなく、会社の方針に従順なだけのこと。お客様から搾取することもない代わりに、お客様のニーズに合った商品を提供するだけの知識もキャリアもありません。だから「GNP」に頼るしかないのです。

「たしかあのときお世話しましたよね」と過去の貸しを逆手にとり、「私を助けると思ってお願いしますよ」と人情に訴え、見え透いた手土産で恩を売るのが当たり前の時代もありました。「GNP」でつながった関係が、後に破綻を来たした例はいくらでもあります。 一方で優秀な営業マンは「商品」ではなく「自分」を売ると言われます。この人だから安心、この人なら任せたい、そんな「ひと対ひと」の営業は「GNP」の真逆です。

しかも、義理や人情やプレゼントからスタートした関係ではないからこそ、いざという時に義理人情で助けてもらえたり、物で表す感謝の気持ちが顧客との関係を深めることに役立ったりもします。 『三匹の子ブタ』という童話にたとえれば、「GNP商売」はワラや木の枝で建てた家のようなもの。強い風が吹いたら簡単に吹き飛んでしまう脆い商売の典型です。 まっとうな商売をする人は「ひと対ひと」でレンガの家を構築していきましょう。


共感商売

更新日:2010年11月1日

その気になって辺りを見回せば商売のヒントはどこにでも転がっていますが、1メートル先のよく見かけるキノコを採るために、足元の松茸を踏んづけるようなことをしていませんか?

今回ヒントを与えてくれるのは、渋谷の通称『マルキュー』と呼ばれる若い女性向けのファッションビルで働くギャルです。彼女たちには、積極的に勧めなくてもお客様を買う気にさせる独自の接客テクニックがあるのです。 たかが小娘だと思っていると松茸級のヒントを見逃すかもしれません。
彼女たちは、店内に入ってきたお客様を「いらっしゃいませ」で迎えたあと、頃合いを見計らって声をかけます。 商品を手にとって見ているお客様に、「そちら、いかがですか?」「そちらは新商品なんですよ」などと近寄っていくのが一般的な接客だとしたら、彼女たちの声かけは違います。 「それ、かわいいですよね」。自分の店の商品を売る立場にありながら、まるで自分も買い物に来た人のような物言いです。

「かわいいでしょ?」でも「かわいいんですよ」でもなく「かわいいですよね」。
この微妙な違いで何を狙っているかと言うと、お客様に「共感」を示しているのです。 自分が気に入っているものに第三者が共感してくれたら、その商品(サービス)に対する興味は一気にアップします。 そのタイミングで「ご試着なさいますか?その服、私もひそかに狙ってたんですよ」と水を向けると、お客様は店員に勧められたという意識もないまま、自分で選んで自分で決めた感覚を持ちます。

両者のベースに「共感」があるので納得しやすいのです。 押し売りされたら返品やクレームになりかねないことも、お客様が自分で納得した上での行動ならトラブルを招きにくいだけでなく、 「気に入って買った!」という気持ちを持ってもらうこともできるでしょう。
どのような商売においても共感は、物事をスムーズに運ばせる潤滑油となります。
「共感商売」でお客様の心をつかみましょう。


作業の一日延ばしは、仕事の盗人

更新日:2010年10月1日

単純作業が好きな人は意外と多いようです。純粋にそれが性に合っているという人はさておき、すぐに結果が見えるから達成感を得やすいという理由で単純作業にはまる人も少なくありません。

学生時代にアルバイト先で封筒貼り1000枚を頼まれた男性は、「ゆっくりでいいから」と言われたにもかかわらず、いかに短時間で貼り終えるかを自分に課して効率的な方法を編み出し、 30分ほどで作業を終えたときには、山積みの封筒を前にうっとりするような達成感を味わったそうです。男性の、「あの達成感を商売でも味わえたら」という思いはごもっともでしょう。

しかし、商売は「作業」ではありません。「仕事」です。仕事で効率的な達成感を求め出したら周囲の信頼を失うはめになります。「作業」と「仕事」は全然違うと言われます。  細かい話はともかく、利益を生み出す行動が「仕事」で、仕事のための段取りが「作業」です。データの入力は作業。そのデータを分析して売上戦略を立てるのは仕事。 頼まれたものを納品す るだけなら作業ですが、ついでに次の注文をお客様から引き出す、もしくは引き出す工夫をすれば仕事です。 仕事と作業を厳密に区別すれば一日の大半は作業に費やされています。けれど仕事をしたような錯覚をしてしまうのは、作業をこなした達成感で満腹になっているからでしょう。

そこに気づかない人は明日も明後日も作業をどんどん増やして、仕事の時間はどんどん削られていきます。

明治の文学者・吉田敏は『うずまき』という小説の中で「一日延ばしは時の盗人」という名言を残しています。今日やるべきことを明日、明後日と延ばしていくの時間を盗むようなもの。
同じく、日々作業に明け暮れるのは仕事の時間を盗んでいるのと同じこと。「作業の一日延ばしは仕事の盗人」です。晩酌のビールの旨さを引き立てるのは、 作業をこなした達成感より仕事で苦労した疲労感。――そんな名言を残した文学者はまだいません。あなたが身をもって示すチャンスです。


商売に磨きがかかった人の舞台裏

更新日:2010年9月1日

行き慣れない高級レストランに招待されても、内心あまり嬉しくない。それより行きつけの店で一杯やったほうがいいと思う。 慣れない場所は居心地が悪く、慣れた場所は落ち着くからでしょう。

「心地良い空間や状態」を心理学用語で「コンフォートゾーン」と言います。単に場所の話ではなく、慣れたやり方、しっくりくる考え方、 つまり「自分らしい」と思える状況はあなたにとってのコンフォートゾーンなのです。 慣れた場所や状況は居心地が良いので能力を発揮しやすくなるものの、「ぬるま湯化」して抜け

出せなくなったときは要注意です。 一度コンフォートゾーンを意識すると、慣れない事態に遭遇したとき無意識にコンフォートゾーンに逃げ込もうとします。
その状況に不慣れなために居心地の悪さを感じて、慣れ親しんだ「今までの自分」に戻ろうとしてしまうのです。 今までのやり方で商売が上手くいかないのに、「今までの自分」という枠から出ようとしない人が大勢います。 しかし、慣れた状況でもがいても今まで以上の能力はまず発揮できません。それどころか、逆に絶好のチャンスが訪れているときでさえも、 「こんな良いことが自分に起きるわけがない」と尻込みしてチャレンジを避けてしまう。「慣れ」も良し悪しというわけです。

新しい局面を迎えたとき、もしくは慣れたやり方から脱出して状況を変えたいときには、新しい「自分らしさ」を探ってみましょう。 商売であれば、商売が上手くいっている人のコンフォートゾーンを積極的に真似てみる。
判断基準も発想も行動のタイミングも自分とは違うので、慣れないうちは居心地の悪さを感じるものです。 けれど脳には、どんな環境にも対応できる可塑性(かそせい)という性質があります。繰り返し真似て自分になじませ、 徐々に居心地の悪さを感じなくなった頃、あなたのコンフォートゾーン、つまり「自分らしさ」はワンランク上にスライドしているはずです。 そんなあなたを周囲は「商売に磨きがかかった」と見ることでしょう。


あえて交渉のセオリーを度外視してみる

更新日:2010年8月1日

資金の問題から新築をあきらめ、両親の実家をリフォームして住むことにした30代の夫婦は、交渉の鉄則である「あいみつ」を取りませんでした。 客観的に見て、妥当な線とは言い難い見積もりで契約したのは、夫婦揃って駆け引きが苦手で、性格的に呑気だからです。

お金がないならそれなりに安く、しかしできるだけ質の良い仕上がりを求めて交渉するのが一般的な発想だとしたら、呑気なこの夫婦は業者にとって扱いやすいお客様です。うっかりカモになる可能性もあったでしょう。
ところが結果は双方が大満足でした。うるさく値切ったり細かいクレームをつけたりしないのは、苦手な駆け引きでストレスを溜めながら金額にこだわるより、とにかく自分たちが望む家をちゃんと造って欲しいという純粋な気持ちからです。
夫婦仲の良さに感心した業者は、夫婦の最優先事項を的確に察知したわけです。業者は、この夫婦が練った設計プランの実現に全力投球することで「良心的なお客様」の要望に応えました。
思い描いていたリフォームが完成したので、夫婦はもちろん大喜びです。引渡しの際に担当者が、「僕たちもお二人を見習って家庭を大事にしようと思います」と夫婦に握手を求めたという話を聞き、交渉は必ずしもセオリー通りのテクニックがものをいう世界ではないと痛感しました。

説得」 → 「納得」 → 「商談成立

が交渉の基本だと言われます。お互いの利害が一致する落とし所を探る作業が交渉です。
では「利害」とは何か。1500万円のポルシェを現金で買ったある男性は言います。

「A社とB社の2社から話を聞いた。最終的にはA社のほうが高い値引率を提示してきたが、人の足元を見るようにちょっとずつ値引いていく感じが、せこかった。でもB社は、一気にギリギリまで値引いてきた。その潔さを信用してB社で買った。」
手の内を徐々に明かすのは、交渉の常套(じょうとう)手段かも知れません。
しかし、必ずしも金額面だけが「利害」ではないということです。


お客様との間に架ける橋

更新日:2010年7月1日

作るのは大変でも壊すのは簡単な信頼関係。信頼は人間関係の礎(いしずえ)です。
商売においても最重要課題であり、事態が深刻なときほど信頼関係がものを言います。

臨床心理学では信頼関係のことを「ラポール」と言いますが、これはフランス語で「橋を架ける」という意味です。 あなたの会社とお客様との間には「信頼」の橋が架かっているでしょうか。
その橋は危機的状況にも耐えられるほどの強度を備えているでしょうか。
こんな話を聞きました。U.S.アーミーの戦闘機には、一機につき16人の整備士が配置されているそうです。 戦闘機に乗るのは操縦士2名と副操縦士2名。彼ら4人は自分の命を16人の整備士に預け、16人の整備士は4人の命を守っている。 そこに信頼がなければとても成り立たない関係です。整備士たちはプロとしての仕事で4人の信頼に応えているでしょうが、 タバコのワンカートンでも渡すと、よりしっかり整備してくれるそうです。もちろん、これは「袖の下」的な意味合いではありません。

「いつもありがとう。これからもよろしく頼むよ」という気持ちを「形」で表してくれた誠意に、人の心が動くのです。 その「形」が相手の負担になるようなものでは、かえって誠意が空回りするかもしれません。
4人と16人の間に信頼という橋が架かっているからこそ、タバコのワンカートンというさり気ない気遣いよって橋の強度が増すのでしょう。 「ありがとう」の言葉に心を込めれば、感謝の気持ちは伝わります。
常に丁寧な対応で自分を敬ってくれる相手を悪く思う人はいません。
また、「形」ある表現が言葉や態度を補ってくれるのも事実です。「モノで釣るなんて」というのは過去にモノで釣られた経験がある人の発想かもしれません。 信頼していない相手から「形」で示されても、「形」以上のものは伝わりません。お客様との間に「信頼」という橋が架かっていると自負しているのなら、 時には相手に寄せる信頼を「形」で表すことで、危機的状況にも強い橋になるだろうと思います。


努力と徒労

更新日:2010年5月1日

目標に向かって全力を尽くすことを「努力」と言います。
その努力が無駄な骨折り損に終わると「徒労」になります。
目標達成」というスタート地点は同じなのに、どこで「努力」が「徒労」に変わってしまうのか。

その答えは「すでにスタート地点から」です。
つまり無駄な骨折りをする人は、努力しているつもりでも、実は最初から徒労だったのです。 その原因は目標設定の甘さにあります。
ダメな目標の典型例は「今月も頑張って売上拡大を目指しましょう!」。
ただ闇雲に頑張っても現場は疲労するだけで、たとえ売上が上がったとしても一時的なこと。 頑張って結果を出し続けるにはゴールが必要です。そこで数値というゴールを掲げるわけですが、 「目標設定が甘い」とは「数値設定が甘い」とも言い替えられます。

「前月対比110%アップ」という目標設定をした場合、「110」という具体的な数値を掲げるのはいいとして、 「110」の根拠は何か。先月の売上目標に対する達成率が90%だったから、未達成の10%を今月で挽回する。 それもひとつの「根拠」かもしれませんが、根拠は明確でなければ意味がありません。
明確な根拠とは、目標達成をイメージできるかどうかです。 前月対比110%アップを達成するイメージができれば、達成に向けた行動が具体化します。その行動を「努力」と呼びます。 しかし、最初から達成のイメージが持てない行動であれば、スタート地点から「徒労」する羽目になってしまうのです。 努力が徒労に終わらないためには、目標設定の段階で次の3つを抑えておくべきだろうと思います。


(1)具体的な数値
(2)数値に対する明確な根拠
(3)数値を達成するイメージが持てるかどうか

「無駄な努力などない」と言いますが、そもそも今の行動が「努力」かどうか、 まずはそこから考えてみる必要がありそうですね。


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