つぶやく税理士

「異端の一手」が未来を拓く

  2025/12/25    商売のヒント

昭和から平成初期のモノづくりを支えた技術者の情熱に今、再び注目が集まっています。例えば、昨年のNHK「新プロジェクトX」で特集された初代プレイステーション(PS)誕生秘話は、まさに技術者たちの信念が逆境を打ち破った劇的な挑戦の歴史です。
1990年代初頭「ゲームは2Dが主流」という時代に、ソニーの技術者だった久夛良木(くたらぎ)健氏らは、映画のようなリアルタイム3DCGを家庭で実現するという無謀な夢を追いました。
任天堂との共同開発計画が土壇場で白紙撤回され、社内外から「ソニーのゲーム業界進出は不可能」と冷遇され、巨大組織の中で異端児扱いされても「未来は3Dにある」という信念を貫き、リアルタイム3DCGという誰も成し遂げていなかった未来を信じました。その信念が、それまで子ども向けだったゲームを、世界を牽引するエンタメの王道へと押し上げ、今日のゲーム産業の礎を築きました。PS誕生秘話は、組織の壁と世間の常識に立ち向かい、未来への「一手」を信じ抜いた技術者魂の記録でもあるのです。

PS発売から約30年が経った今、私たちがこの歴史から問われていることは何でしょう。異端の技術者たちが常識に挑んだように、私たちも日々の生活や仕事で「無謀」と笑われるかもしれない未来への一手を打てるかどうか。現状維持という名の殻を破って新たな道を切り開く勇気が持てるかどうか。逆境を力に変えていけるだけの強い信念があるかどうか。

今までの成功体験に縛られず、軽やかに、けれどひたむきに、そして大胆に「異端の一手」を打ち続けたいと思う新年です。